一度見だすとやめられない。『オスマン帝国外伝』 [読書・映画感想]
7月から想像を絶するような暑さが続き、
ただでさえ暑さに弱い私はもうすでに、青息吐息。
息をしているのがやっとという情けない有様です。
京都は一度外気温がほぼ40度近くにまで達したことがあって、
ただ暑いのならまだしも、湿気をはらんでいてさながら天然のスチームサウナのようです。
本を読むのは好きなはずなのですが、ここまで暑いと能動的に本を読むことすら
できないという情けないありさまです。
そこでです!
「あ~、なんか家でできる面白いことないかなぁ~」と友達に愚痴をこぼすと
「それなら、このドラマを見なはれ!」と勧めてくれたドラマがこれ、
オスマン帝国外伝。
サブタイトルが「愛と欲望のハレム」だっけ?
うぉおお~。ただでさえ暑苦しいのに、このムンムンしたタイトルはなんだ~って
感じです。
でもまぁ、ものはためし、で見てみました。
最初見た感じは、『チューダーズ』のトルコ版なのかって感じですよ。
ヘンリー八世にも幼馴染の側近でサフォーク卿っていうのがいたように、
三大陸の覇者、スレイマン大帝にも兄弟の契りを交わした側近、イブラヒムっていうのがいたんですね。
なんかそこらへんの背景も似ている。
ただ、チューダーズほど美術とか衣装にはお金はかけられていないかなぁって感じがするのね。
あとやはりトルコというお国柄のせいか、ハレムを描いているくせにお色気シーンの描写は極めて控え目かな。
で、しかも、めっちゃくちゃ長いんですよ。一回150分で139回あるんです。
わたしは、これをみるために一度退会したHuluにまた再入会して、みました。
やはり日本人にとって、一回のドラマが150分っていうのは長すぎるみたいで、
1回分を2回に切ってあります。ということは、全部見終わるまでに278回分を見なければならないってことですよね。
ふぅーって気絶しそうになりますわ。
どうせ、こんなクソ長いんなら、途中でリタイヤしても全然かまわないやっていうぐらいの気持ちでみたんだけど、これね、脚本がいいのか、いつもヤキモキするようなところで終わっちゃうんですよ。
「え~、次はどうなるの?」って絶対に次が見たくなるんです。
わたしなんて、どうせヒマなんで、一日7本ぐらい見ていました。
で、これを見始めたのが7月21日、見終わったのが、7月30日。1回から47回ほどみたのかな。
(シーズン1がとんでもないところで終わっているので、シーズン2の1回だけみて一応そこで留まりました)
これねぇ、ほんと、なんかハレムの中の女の覇権争いが、本当にたけだけしいっていうか、浅ましくて、日本人なら「いや~、ありえないわ」ってげんなりするような内容なんですよ。
それでも、どういうわけが次が絶対に見たくなってしまうという不思議なドラマです。
男性陣は、皇帝スレイマンやっている人は本当に威厳のある堂々とした偉丈夫って感じの俳優さんがやっていて、見惚れますね。
あと、側近の大宰相になるイブラヒム・パシャやっている人もすごくステキな人で、わたし個人的にこういうアンニュイで知的な人がすごく好きなので、「うわ~、イブラヒム、かっこいい~」だけで見ていたように思います。
イブラヒムはもともとギリシャの漁師の息子だったのですが、10歳のときにさらわれて奴隷として売られちゃった人なのですねぇ。でも稀に見るアタマのよさを買われて、王様の側近として大宰相の地位まで上り詰める人なんです。
シーズン1のみどころのひとつはこのハンサムな大宰相と王様の妹で、上品でエレガントの塊のような皇女さまとの恋ですね。
大宰相となっても所詮は元奴隷なので、皇女さまは高値の花なんですよ。
でも、なんていうかな、身分の高い高貴な女性と身分の低い男の恋っていうのは、
なんとなく絵になるっていうか、面白い。
で、主人公のひとりである、スレイマンの寵姫で、とうとうスレイマンに一夫一婦制を認めさせた女、ロクサリーナ(ロシア人の女ぐらいの意味)こと、ヒュッレム妃ですね。
ヒュッレムをやっている女優さん、本当にきれいなんですよね。
ものすごく長身で、手足が長く、髪の毛のストロベリーブロンドで、顔もすっごくかわいい。
だけどさ、この人日本人の基準からしたら、ちょっと「太い?」って思うほどボリューミーなんです。
普通、ドラマや映画では絶対に女優さんが二重顎になっちゃうポーズは取らせないと思うんだけど、
トルコの人ってきっとこれくらいのボリューミーさを求めているだろうな、遠慮なくバンバンとっちゃうんですよね。
ヒュッレムさんて、ライバルであるギスギス美人のマヒデブランっていうお妃とスレイマンの愛を競っているんだけど、その争い方がなんかなぁたけだけし過ぎて、浅ましさを感じてしまうんですよ。
とくに、ヒュッレムがマヒデブランに対抗して勝ったとき、
思わずでかい目玉が落ちるんじゃないかと心配になるほど、目をひん剥いて、嗤うんですよね。
このドヤ顔、いくら根性悪い京女だって、こんな顔できないね。
やはり中近東の女は、肉食性っていうか、体格もがっしりしていて男並みだし、
なんかそもそものメンタルが違うなってっ思いました。
でもそればかりではなく、王様への愛っていうのも半端なく、
自身の命を懸けて迫るところなんかは大変見ごたえがありました。
わたしは、常日頃はどっちかというと、クールなドラマをみることのほうが多いのですが、
これは中毒性があります。
それに、トルコからみたヨーロッパ史っていうのも案外新しい視点でもあります。
シーズン1に塩野七生先生が描かれた『緋色のベネツィア』の主人公でもあります、
アルヴィーゼ・グリッティも登場します。
あと、ロードス島は当時制海権を握るものには抑えておかなければならない島だったらしくて、
聖ヨハネ騎士団の本拠地がそこにあったのですが、スレイマンが陥落させているんですねぇ。
やはりそういえば、昔塩野先生のこの本を読みましたが、もう一度
読んでみようかなぁと考えています。
歴史はいろんな角度で見ると本当に面白いですよね。
キリスト教圏だったら、イスラムは悪ですが、
イスラムにとってはキリスト教は悪なんです。
それぞれの信義に基づいた聖戦なんだなって思いますね。
劇中のオスマン帝国の貴人の衣装は非常にイタリアのファッションに似ているなぁと思ってみていたのですが、実はそれは反対で、ヨーロッパの人がオスマン帝国の人のファッションを真似ているのですね。だって、ダマスク織なんてもともと中近東のダマスクスの織物のことだし、ロココで必須アイテムであるアラベスク模様というのもやはり、その名の通り、アラビア風なんですよね。
服飾史が好きなわたしには大変興味深いものがありました。
ムスリムの女性というと、つい、ディズニーのジャスミン姫を思い出しますが、
オスマン帝国のハレムの女性はこういったハーレム・パンツって履かないですね。
どちらかというと、バロック期にはやった極めてヨーロッパに近いドレスを着ています。
ヨーロッパではレースが主流で襟元や袖にふんだんにレースをあしらいますが、
トルコの女性は薄絹のベールのような布を袖口にふわりとたらしているので、それが非常に
優雅に見えます。
ドラキュラで有名な串刺し公ブラド・テペシュの肖像画がありますが、
あれって、劇中に出て来たスレイマンが鷹狩りに行くときにそっくりな
帽子を被っているなぁって思ったんですよ。
一時期、オスマン帝国は当時のハプスブルグ帝国のぎりぎりまで攻めてきて
攻めとったバルカン半島あたりはオスマン領だったりするので、
意外とヨーロッパのもの、と思っていたものも実はトルコのものがヨーロッパナイズドされたものが
多いのかもしれません。
ただでさえ暑さに弱い私はもうすでに、青息吐息。
息をしているのがやっとという情けない有様です。
京都は一度外気温がほぼ40度近くにまで達したことがあって、
ただ暑いのならまだしも、湿気をはらんでいてさながら天然のスチームサウナのようです。
本を読むのは好きなはずなのですが、ここまで暑いと能動的に本を読むことすら
できないという情けないありさまです。
そこでです!
「あ~、なんか家でできる面白いことないかなぁ~」と友達に愚痴をこぼすと
「それなら、このドラマを見なはれ!」と勧めてくれたドラマがこれ、
オスマン帝国外伝。
サブタイトルが「愛と欲望のハレム」だっけ?
うぉおお~。ただでさえ暑苦しいのに、このムンムンしたタイトルはなんだ~って
感じです。
でもまぁ、ものはためし、で見てみました。
最初見た感じは、『チューダーズ』のトルコ版なのかって感じですよ。
ヘンリー八世にも幼馴染の側近でサフォーク卿っていうのがいたように、
三大陸の覇者、スレイマン大帝にも兄弟の契りを交わした側近、イブラヒムっていうのがいたんですね。
なんかそこらへんの背景も似ている。
ただ、チューダーズほど美術とか衣装にはお金はかけられていないかなぁって感じがするのね。
あとやはりトルコというお国柄のせいか、ハレムを描いているくせにお色気シーンの描写は極めて控え目かな。
で、しかも、めっちゃくちゃ長いんですよ。一回150分で139回あるんです。
わたしは、これをみるために一度退会したHuluにまた再入会して、みました。
やはり日本人にとって、一回のドラマが150分っていうのは長すぎるみたいで、
1回分を2回に切ってあります。ということは、全部見終わるまでに278回分を見なければならないってことですよね。
ふぅーって気絶しそうになりますわ。
どうせ、こんなクソ長いんなら、途中でリタイヤしても全然かまわないやっていうぐらいの気持ちでみたんだけど、これね、脚本がいいのか、いつもヤキモキするようなところで終わっちゃうんですよ。
「え~、次はどうなるの?」って絶対に次が見たくなるんです。
わたしなんて、どうせヒマなんで、一日7本ぐらい見ていました。
で、これを見始めたのが7月21日、見終わったのが、7月30日。1回から47回ほどみたのかな。
(シーズン1がとんでもないところで終わっているので、シーズン2の1回だけみて一応そこで留まりました)
これねぇ、ほんと、なんかハレムの中の女の覇権争いが、本当にたけだけしいっていうか、浅ましくて、日本人なら「いや~、ありえないわ」ってげんなりするような内容なんですよ。
それでも、どういうわけが次が絶対に見たくなってしまうという不思議なドラマです。
男性陣は、皇帝スレイマンやっている人は本当に威厳のある堂々とした偉丈夫って感じの俳優さんがやっていて、見惚れますね。
あと、側近の大宰相になるイブラヒム・パシャやっている人もすごくステキな人で、わたし個人的にこういうアンニュイで知的な人がすごく好きなので、「うわ~、イブラヒム、かっこいい~」だけで見ていたように思います。
イブラヒムはもともとギリシャの漁師の息子だったのですが、10歳のときにさらわれて奴隷として売られちゃった人なのですねぇ。でも稀に見るアタマのよさを買われて、王様の側近として大宰相の地位まで上り詰める人なんです。
シーズン1のみどころのひとつはこのハンサムな大宰相と王様の妹で、上品でエレガントの塊のような皇女さまとの恋ですね。
大宰相となっても所詮は元奴隷なので、皇女さまは高値の花なんですよ。
でも、なんていうかな、身分の高い高貴な女性と身分の低い男の恋っていうのは、
なんとなく絵になるっていうか、面白い。
で、主人公のひとりである、スレイマンの寵姫で、とうとうスレイマンに一夫一婦制を認めさせた女、ロクサリーナ(ロシア人の女ぐらいの意味)こと、ヒュッレム妃ですね。
ヒュッレムをやっている女優さん、本当にきれいなんですよね。
ものすごく長身で、手足が長く、髪の毛のストロベリーブロンドで、顔もすっごくかわいい。
だけどさ、この人日本人の基準からしたら、ちょっと「太い?」って思うほどボリューミーなんです。
普通、ドラマや映画では絶対に女優さんが二重顎になっちゃうポーズは取らせないと思うんだけど、
トルコの人ってきっとこれくらいのボリューミーさを求めているだろうな、遠慮なくバンバンとっちゃうんですよね。
ヒュッレムさんて、ライバルであるギスギス美人のマヒデブランっていうお妃とスレイマンの愛を競っているんだけど、その争い方がなんかなぁたけだけし過ぎて、浅ましさを感じてしまうんですよ。
とくに、ヒュッレムがマヒデブランに対抗して勝ったとき、
思わずでかい目玉が落ちるんじゃないかと心配になるほど、目をひん剥いて、嗤うんですよね。
どやぁああああああ~
このドヤ顔、いくら根性悪い京女だって、こんな顔できないね。
やはり中近東の女は、肉食性っていうか、体格もがっしりしていて男並みだし、
なんかそもそものメンタルが違うなってっ思いました。
でもそればかりではなく、王様への愛っていうのも半端なく、
自身の命を懸けて迫るところなんかは大変見ごたえがありました。
わたしは、常日頃はどっちかというと、クールなドラマをみることのほうが多いのですが、
これは中毒性があります。
それに、トルコからみたヨーロッパ史っていうのも案外新しい視点でもあります。
シーズン1に塩野七生先生が描かれた『緋色のベネツィア』の主人公でもあります、
アルヴィーゼ・グリッティも登場します。
緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)
- 作者: 塩野 七生
- 出版社/メーカー: 朝日新聞
- 発売日: 1993/06
- メディア: 文庫
あと、ロードス島は当時制海権を握るものには抑えておかなければならない島だったらしくて、
聖ヨハネ騎士団の本拠地がそこにあったのですが、スレイマンが陥落させているんですねぇ。
やはりそういえば、昔塩野先生のこの本を読みましたが、もう一度
読んでみようかなぁと考えています。
歴史はいろんな角度で見ると本当に面白いですよね。
キリスト教圏だったら、イスラムは悪ですが、
イスラムにとってはキリスト教は悪なんです。
それぞれの信義に基づいた聖戦なんだなって思いますね。
劇中のオスマン帝国の貴人の衣装は非常にイタリアのファッションに似ているなぁと思ってみていたのですが、実はそれは反対で、ヨーロッパの人がオスマン帝国の人のファッションを真似ているのですね。だって、ダマスク織なんてもともと中近東のダマスクスの織物のことだし、ロココで必須アイテムであるアラベスク模様というのもやはり、その名の通り、アラビア風なんですよね。
服飾史が好きなわたしには大変興味深いものがありました。
ムスリムの女性というと、つい、ディズニーのジャスミン姫を思い出しますが、
オスマン帝国のハレムの女性はこういったハーレム・パンツって履かないですね。
どちらかというと、バロック期にはやった極めてヨーロッパに近いドレスを着ています。
ヨーロッパではレースが主流で襟元や袖にふんだんにレースをあしらいますが、
トルコの女性は薄絹のベールのような布を袖口にふわりとたらしているので、それが非常に
優雅に見えます。
ドラキュラで有名な串刺し公ブラド・テペシュの肖像画がありますが、
あれって、劇中に出て来たスレイマンが鷹狩りに行くときにそっくりな
帽子を被っているなぁって思ったんですよ。
一時期、オスマン帝国は当時のハプスブルグ帝国のぎりぎりまで攻めてきて
攻めとったバルカン半島あたりはオスマン領だったりするので、
意外とヨーロッパのもの、と思っていたものも実はトルコのものがヨーロッパナイズドされたものが
多いのかもしれません。