身内は自分にとってナンボのものか 『リップヴァンウィンクルの花嫁』 [読書・映画感想]

皆さま、こんにちは。

さて、先日こんな本を読了しました。

リップヴァンウィンクルの花嫁
リップヴァンウィンクルの花嫁 (文春文庫)

リップヴァンウィンクルの花嫁 (文春文庫)

  • 作者: 岩井 俊二
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/10/06
  • メディア: 文庫



『リップ・ヴァン・ウィンクル』(Rip van Winkle)は、アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングによる短編小説、および主人公の名前。(wikipediaより参照)だそうです。

昔、中学校の英語の副読本で読んだような記憶が…。
なんかとりとめのない夢のような話なんですよね。森の中でリップ・ヴァン・ウィンクルがボーリングしていたみたいな箇所しか思い出させないわw

とにかく、ウィキによりますと、この話はいわゆる西洋版浦島太郎なんですね。
犬を連れて狩りに行くと不思議な世界に迷い込んで、帰って来たら、何十年も経っていたという…。
なんかそんな話です。

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この小説は、あんまりリップ・ヴァン・ウィンクルそのものがモチーフになっているわけじゃなくて、
後半主人公が付き合う友達が、なんてかちょっと非現実的で風変わりな人だったんですね。

物語のはじめはものすごく、イマドキありそう~みたいな出会いから始まるんですよ。
主人公の七海がネットで婚活をして、その相手ととある箇所で出会うんですね。

まぁ、はじめはどっちもおっかなびっくりで、付き合うんですが
とんとん拍子に話はまとまるんですね。

そして相手がある晩、七海にプロポーズしてくれるんです。

でも、七海は相手に話せない秘密があったんですよ。
まずひとつは今勤めている学校の先生を解雇されたこと。
七海は今、無職なんです。

それと、実家の父親の事業が失敗したのが原因で母親と父親を見限り、
自分より年若い男と駆け落ちしたからなんですね。

なんか、これ夫婦として最大の裏切りだと思うんですよね。
人生なんていつも順風満帆なわけないじゃないですか。
いいときもあれば、悪いときもある。
こういうとき、一緒に力を合わせて頑張るのが夫婦だと思うんですけどね。

結局、両親は離婚してしまうんです。

それはとても言いにくいことだろうけど、やはり相手の男に言うべきだったなと思うんです。
ちょっと酷なようだけど、この時の相手の男の反応の如何で
結婚を白紙にするのもアリだと思うのです。

わたしからしてみれば、両親の行き過ぎた不品行は七海のせいじゃないです。
もしそれを正直に話して、「そんな両親を持つ人間なんてダメだ」っていう男なら
結局結婚しても幸せになれないと思うんですよね。

ですが、七海は無理をする。
なんでも屋に頼んで、両親以外はすべてサクラの結婚式を挙行するんですよ。
体面を取り繕うためだけに。

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七海はなにからなにまでサクラに頼むのです。
こんな寂しい思い、なるべくならしたくないですね。

それでも私は七海のそういう取り繕いたいと思う気持ちわかる気がする。
私が結婚したときはバブルな時代でたくさんの人を呼んだ盛大な式をするのが流行っていました。

わたしは、若い時からたくさんの友達を付き合うのが苦手で
あんまり友達がいなかったから、本当に人数合わせには苦労して
すっごく嫌な思いをいっぱいしました。

こんなことなら、本当に身内だけの式をすればいいんですよ。
でも、当時は「友達が少ないのは恥ずかしいこと」」っていう世間の気運が高まっていて、
まぁ、わたしは未熟だったから、やはりそういう自分を恥ずかしいと思ったものです。

しかし、孤独っていうのは結構実は、充実した時間を自分に与えられるものなのですよ。
結局、勉強するのだって、本を読むのだって、ドラマみているのだって
ひとりじゃなきゃできないことです。
そして自分の内面を充実させて、たまに気の合う友達と一緒におしゃべりするのが
最高だなと思う次第です。

ですが、こうやって七海は嘘に嘘を重ねて、ある日、それがすべて崩壊するときが来ました。

七海の旦那は本当にひどい男で、体のいいセックスつきの女中が欲しかっただけなんですよ。
なんか精力絶倫の男で、七海の身体の調子なんかぜんぜん気にせずに、自分がやりたいようにやる。
そのあと、コトが終わったあと、必ずプロテイン飲料を飲んで、自分が今、
放出したたんぱく質を補充した描写は本当にいやぁあな感じで、自己中心的な男だなぁってゾッとしました。

結婚に焦るのはわかるけど、結婚は誰でもいいわけじゃないです。
やはり、男女とも最後に求めるのは、ルックスでも年収でもなく、相手の人間性ですよね。
それを見誤ってはいけないのです。

だから、逆をいえば、七海の秘密は、相手の男の人間性を試すリトマス試験紙のような
役割をしていたともいえると思うんですよね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

七海は何もかも失って、ひとり安いホテルで寝泊まりをしていました。

そういうとき、サクラを集めてくれた会社の安室という男から
(ちなみにこの男の名前はどうやら偽名で『安室行桝(アムロ、行きます)』なんだよね)
仕事の話が入るのです。

そうやって、たどり着いた先の世界が、リップ・ヴァン・ウィンクルの世界…。

まぁ、ここからは、ジェット・コースター・ノヴェルの神髄を味わってほしいなと思います。

この映画は実は映画されていたらしいです。
主演はまたまた、黒木華さんです。
売れてますね、黒木さん。

映画と合わせてみるも、またヨシだと思います。



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おかもん

こんばんは。
岩井さんて映画監督でしたっけ? 映像が浮かぶような小説を書かれるんでしょうか? 映画も見たことないし、本も読んだことがないのでわからないのですが、私の中では辻仁成や石田衣良と同じグループになっています(^_^;)
今日は家人の付き添いで大きな病院にいきましたが、たくさん診察を待つ人がいました。しばらく行かなかったら駐車場が有料になっていました!
朝晩と昼間の気温差が大きくてはぁ~となります。来週はもう11月、早いですね。
by おかもん (2018-10-25 23:00) 

sadafusa

ああ、本当ですね。映画監督だー。知りませんでした。
うーん、辻仁成は昔、冷静と情熱の間しかよんでないし、石田衣良もなんか読んだけど、わすれちゃったなぁ。
この話は、なんか現代のおとぎ話ですね。

病院はすごく苦手な場所です。あそこで待ってるとなんと気が滅入ります。でも一日仕事ですよね、お疲れ様です。

暑い暑い夏が終わったと思ったら、急転直下もう冬ですよ。
お互いに風邪を引かないようにしましょうね。
by sadafusa (2018-10-25 23:09) 

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