『ボヘミアン・ラプソディ』を観て [読書・映画感想]

d3ac0002-ml.jpg



皆さま、こんにちは。

今日は娘とふたりで久しぶりにデート。
往年のロックの大スターであるバンドQueenのボーカリストである
フレディ・マーキュリーを主人公にした『ボヘミアン・ラプソディ』を見に行ってまいりました!

このフレディをというか、Queenを映画化するという話は、結構昔からあってですね、
サシャ・バロン・コーエンをフレディにとか、
いや、ジョニデがフレディをやればいいとかいろいろ話はあったみたいですが、
どれも途中で頓挫したみたいですね。

それが、今回のこの快挙。
主役のラミ・マレックさんにしろ、他のメンバーの役者さんにしろ、
素顔は全然別の人です。
ですが、演技でここまで似ることができるのかっていう迫真の演技でした。

ボヘ・ラプのメイキング・ヴィデオを見ていると、
フレディはもちろん、他のメンバーさんにも
彼らの演奏するときのクセとか、しゃべるときのクセとか
すべてにわたってコーチする人が付いたみたいですね。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、フレディ・マーキュリーですが、
彼は、インド生まれなのですが、
実は古い時代にペルシャから、ムスリムたちに国を追われて
インドから逃げてきたパールシー(ペルシャ人という意味)といわれている
ゾロアスター教徒の末裔なのですね。

フレディの一家は、アフリカのザンジバルに住んでいたのですが、
(インドもザンジバルのイギリスの統治下という理由からだと思うけど)
フレディがたしか17歳ぐらいに、当地で革命が起きて、
着の身着のまま、難民としてイギリスに逃げてきた一家なのですよ。

わたしは、Queenが現役の時から知っていて、兄が買っていた「ミュージック・ライフ」
をよく読んでいたのですが、
その時、フレディは外交官の息子として紹介されていて、「へぇ、すごいエリートなんだな」
と感心していた覚えがあります。
当時の日本人の女の子から見たら、長髪のフレディって、本当に王子様に見えたと思うんですよ。

少し話は変わりますが、当時の芸能界の、沢田研二、西城秀樹、野口五郎などの衣裳は
絶対的に当時のQueenやレッド・ツェッペリンなど、有名なロックバンドの影響を
受けていると思うのですね。

そして、もっと言えば、『ベルサイユのばら』をはじめとして
『エロイカより愛をこめて』などのファッションなども、
実はロココのものでも、革命後のものでもなく、1970年代のブリティッシュロックの
ファッションの影響がものすごく強いと私は思っています。

フレディの魅力は、結構アンビバレンツな複雑なものだ、と私は思っています。
彼は、ルックスが決して万全じゃないんですよね。

妙に高くてとんがった鼻、そして出っ歯で、えらが張ったしもぶくれの顔。
最初は「えっ、ドラキュラみたい」とか「気持ち悪い」っていう印象なんです。
でも、なんていうのかなぁ、フレディには果物のドリアンとか、クサヤのひもの的な
魅力があって、何とも言えない異臭がするけど、それに一度ハマってしまったら
もうのめり込むように、それにおぼれてしまうような、そんな悪魔的な魅力があるんですよね。


芸術家らしく、ピュアでセンシティヴなシャイな面と、ずうずうしいくらい高飛車で自信満々な面。
最初の恋人だったメアリーを「生涯の恋人」と愛したのも本当なのですが、
ゲイとして男色におぼれていたのも確かなことなのです。

フレディはいわば、自分の中に飼いならすことのできない猛獣のようなものが潜んでいて、
全生涯、それと葛藤して、そして死んだような気がするのですね。


美しい曲の数々。
Queenの曲は、毎日だれかにカヴァーされて、耳にします。
それも一曲や二曲じゃない。
ボヘミアン・ラプソディ、サムバディ・トゥ・ラヴ、
サムワン・バイツ・ザ・ダスト、
バイシクル・レース、ウィ・アー・ザ。チャンピオン、などなどなど。
数えれば、キリがないほどです。


有名なレディ・ガガの芸名も実は「レディオ・ガガ」から来てますしね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
フレディは、自身がバイセクシャルだと自覚したあたりから、
恋人のメアリーとステディな仲を解消します。
それからがもう、放埓に放埓を極めた生活をしていて
おそらく、このころ、エイズに感染したと言われています。

昨日、ソロで作った曲である「you don't fool me」ってのを聞いたんだけど、
声とか曲の調子が重くて、荒んだ感じがして、聞いてられないんですよね。
たぶん、彼はこのころ、自分の死というものを受け入れられずに
苦しんでいたのかと思ったりします。

ですが、最後のアルバム「イニュエンドウ」になりますと、
もうフレディは、身体は現世にありながら、心は彼岸に行っているみたいで、
突き抜けているんですよ、すべてが。
妙に明るい曲の後には、この世の人々すべてにさようならを告げているかのような
悲しい曲。また、明るい曲、また、暗い曲と交互に入っています。

ですが、どの曲もどの曲も、声は澄み切って、エイズに侵され、やつれ切った身体のどこから
そんなに力が潜んでいたのだと思うくらい、力強く熱唱しているのです。

イニュエンドウを聞いていると必ず、その声のワンフレーズ、ワンフレーズから、
魂のほとばしりというか、命のかけらのようなものが天に向かっているような
そんなゾクゾクするようなそんな感触を受けます。

最後、映画が終わって、クレジットであの名曲
「show must go on』が流れてくると、なにか胸に熱いものが突き上げて来て
涙が止まりませんでした。

そして、どんなに迫真の演技を見せているにせよ、それはやはり演技であって
フレディの不在というものを、改めて知って、彼の歌と共にあった自分の青春というものが
二度と帰らないものであるということを強く感じてしまいました。

nice!(2)  コメント(6) 

nice! 2

コメント 6

ぽっぽちゃん

なんか…読んでいるだけで熱いものが胸にこみ上げて感動しました。
私も観たかった作品なので絶対観ようと改めて思いました。
そしてsadaさまのフレディと共に過ごされた時間や熱い愛情を感じました。
今から観るのが楽しみです❢
by ぽっぽちゃん (2018-11-29 22:58) 

sadafusa

ぽっぽちゃん、おはようございます。

フレディ、とっても好きだったんですよ、私。
うん、すごく映画はよかったですよ。
私はファンだから、フレディの知識があるけど、
だけど、そんなこと知らなくても、
クィーンの音楽を大音量で聞くだけでも
十分に感動できるはずです。

ぜひぜひご覧になってくださいね。
そしてまた、感想などをお聞かせください。
by sadafusa (2018-11-30 07:21) 

ぽっぽちゃん

今日、さっそく観て来ました(^o^)
音響の良い映画館で観たかったのでバルト9を選びました。
映画が出来上がるまで監督、脚本が二転三転したそうですが、焦点が絞られた強度あるぶれない作品でした。
QUEENが歩んできた明確なビジョン、そしてキャストやスタッフの気合いをとても感じ、クライマックスのコンサートの再現シーンではすべてのエモーションが高まり涙が吹き出しました。
QUEENの音楽の力も勿論ですが、彼らがライブをやるまでの紆余曲折が胸にきました。
フレディ役の俳優の出っ歯はちょっとやり過ぎだけど(笑)フレディならではの非凡な人生を見事に演じていて感動しました。
ライブ映像の圧巻、鉄壁のセットリスト、そして自分が自分であることを誇りに思うライブパフォーマンスが見事!
今までにない普遍的な人生最高の瞬間を疑似体験できた生への肯定感のある音楽伝記映画でした。
女形の友達と観たのですが、彼が号泣し過ぎて映画が終わったあと腰が抜けてなかなか立てませんでした(笑)

by ぽっぽちゃん (2018-11-30 20:32) 

sadafusa

ぽっぽちゃん、
音響の良い、ということはI-Maxでご覧になられたのでしょうか?

そうですね、この映画はちょっとやそっとのことでは作れなかったと思います。本当にお金のかかっている大変な映画だと思います。かといって仰々しくもなく、さりげなく気の利いた演出をしていたと思いますね。

Queenは、デビューしてそこそこ売れていたのですが、ボヘミアン・ラプソディを打って出てから、押しも押されぬ大スターとなりました。彼らは実に勤勉で、一年に一度必ずアルバムを出すのですね。
でも少しずつ、四人が向かっている方向がずれて来て、迷走し始めるのです。で、ホット・スペースのときかな、大幅に売り上げがダウンして、映画の通り、四人の中に亀裂が無いってしまうのです。

フレディやっているラミさん、実はご両親が生粋のエジプトの方らしく、そういう意味ではフレディと近い民族なのかもしれないですね。顔は全然似てないですが、横顔のラインとか、身体の線がなんとなく似ていました。

最後のライブ・エイドの映像は、映像こそフェイクですが、音響は当時のものがそのまま使われています。youtubeでも Queem live aid と検索すればすぐに出てきますよ。

とはいえ、映画はやはり映像を作り込んでいますので、見るものを圧倒させる力がありますね。
フレディは、やはり一言でいうと天才です。
でも、彼がソロで作ったアルバムも持っていますが、四人揃ったときほど、迫力がないのです。

映画には出てきませんでしたが、「born to love you」と言う名曲があって、はじめはフレディだけが作っていたのですが、何ともチープなサウンドでイマイチなのですが、彼の死後、後に残された三人がフレディの声の音源を基に再構成したものは、実に重厚なつくりで聞くものを圧倒させます。

フレディばかりが脚光を浴びがちですが、
やはり、Queenはひとりひとりがスペシャルなバンドなのです。

by sadafusa (2018-11-30 20:58) 

ぽっぽちゃん

ご丁寧なご返信をありがとうございます‼
つべで探して聴いてみます。
sadaさまの映画の感想、本当に深いです。
どんな映画評論家の批評より、sadaさまの言葉が心に響いてその
作品を観てみたい!と思います。
素晴らしい作品を教えてくださってありがとうございました。
by ぽっぽちゃん (2018-11-30 21:55) 

sadafusa

ありがとうございます。

この映画の感想ですが、自分でも熱いと思います。
なぜなら、わたしはめっちゃQueenを愛しているから!
人生って辛い時も多いと思いうんですよ。
でも、このバンドの曲を聴いていると
「ああ、頑張ろう」って力をもらえるんですよね。
by sadafusa (2018-12-01 08:31) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。