華麗なるある人生 ~デヴィ夫人の生き方~ [読書・映画感想]

皆さま、こんにちは。

寒かったり、ちょっと寒さが緩んだり。
三寒四温の毎日です。

うちのバラちゃんたちも芽が出てき始めました。

私は『バラの家』でよくバラ、およびバラ関連用品を買っているので
たまに販売促進のためのメールマガジンが届くのですが、
葉っぱがないこの時期に、消毒を念入りにやっておくと、
このあと、黒星病などになりにくいのだそうです。

去年は本当に黒星病に悩まされてましたから~。

今年はたくさん花が咲いてほしいなって思ってます。


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さて、日本テレビの『世界の果てまでイッテQ』が大好きな我が娘。
しょっちゅうこれまで見て面白かった動画をlineに張り付けて送って来るのです。

で、しょっちゅう出川さんとデヴィ夫人のものばっかりが。
(そもそもデヴィ夫人はイッテQのレギュラーなのかな、よくわからない)

いや、出川さんとデヴィ夫人の掛け合いがおかしすぎる。
それでも、セレブのデヴィ夫人が、しかももうすぐ80歳だというのに、
空中サーカス、
バンジー・ジャンプ
イルカと一緒に曲芸、

いやもう、ありえない!ってくらい、いろいろなことに挑戦しておられます。
本当にすばらしい!
その俯仰不屈の精神、見ているだけで拍手を送りたくなります。


ところで、最近当のデヴィ夫人が本を出されたそうで、
デヴィ夫人ファンの娘が、その本を買ってまず自分が読み、
そしてわたしに貸してくれました。

それがこの本。



選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論

選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論

  • 作者: ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



見てください、この表紙のデヴィ夫人の美貌。
もうこぼれんばかりの笑顔。

一顧すれば人の城を傾け、再顧すれば人の国を傾く

傾国ってもともと、こういう絶世の美女のことを言うんだなぁって思います。

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デヴィ夫人ってインドネシアの国家元首であるスカルノ大統領と結婚するとき、
それまでの名前、根本七保子という名前を捨てて、
ラトナ・サリ・デヴィというサンスクリット語の名前を付けてもらったそうです。
意味は「神聖なる宝石の女神」という意味らしいですが。

多分、デヴィって英語の divine と同じ語源に突き当たると思います。

ああ、ついつい趣味の名前のほうを見てしまいました。

次行きましょう。
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本はふたつに分かれていまして、
自分のこれまでの人生についてと

まぁ、婚活に苦しんでいる最近の女子への
応援メッセージって感じですかね。


はじめのほうのスカルノ大統領とのなれそめのあたりは
読んでいると、あまりにきれいごとしか書かれていないので、
眉唾もんだなと思い、
そこはすら~っと読み流して、

婚活女子に対するアドヴァイスが満載です。
読む前は、どんなキテレツなことが書かれているんだろうって思いましたが、
やはり数々の恋愛の猛者、
結構、ドストライクなことをおっしゃっておられまして、

こじらせ女子の方々は是非ともこれをしっかり読んで
幸せになってほしいなと思う次第なのです。

あんなにどんなものでもドンと来い!みたいなデヴィ夫人が一番最初に
「男には、自分の絶対に強いところをみせてはいけない」
って書かれてあったのには、正直、おかしすぎて吹き出してしまいました。

ひとりでやっていけるみたいな態度は論外。
いや、絶対にひとりでやっていけるはずの女性であるからこそ、
「風にも、え堪えぬ」って風情を演出するべきだと。

そうすれば男は「何としてでも守ってやりたい!」っていう男らしい心境になるものらしいです。

それとか、いい男がいる場所へ出かけろとかさ。
男から求められるまで、「好きだという態度」を見せちゃいけないとか。
あるいは「男に浮気されたとしても、彼が自分にとって別れたくない男ならば、
見て見ぬふりをして、自分を高めていくしか解決法がない」とかさ。
当たり前のことだけど、それを案外忘れがち。



あと、社交界におけるラブゲームというのは
『魅力ある人を求め、お互いに刺激を受け、優雅さを堪能し、機知をたのしむところ』
なんだそうです。
実際にコトに及ぶより、男が魅力的な女性を素敵なことばで口説く、
だけど、それをどのように応酬するのか、それが楽しみなんでしょうね。

ラクロの小説読んでたりすると、そういうのがよくわかります。

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まぁ、面白いけど、それほど目新しい部分はなく、
若い頃のデヴィ夫人の震えるほど美しい写真がいっぱいあって、
みていて楽しい、その割には1200円なら安いなって感じの本です。


でも、これを読んだあと、
なんか前半のデヴィ夫人の語る自伝の部分が
あまりにもきれいごとすぎて
「こんなのほとんど嘘だ」って読んでいて思ったんですよ。

それと同時に浮かび上がるのが
デヴィ夫人よりちょっと年上の美女、岸恵子。

あの人も誰も当時は『君の名は』で一世を風靡した
伝説の美女。今でもお美しいんですよ。
たしか25歳のころ、フランスの映画監督であるイヴ・シャンピと結婚。

当時はなかなか一般人は海外にでることすらままならない時代。
ほとんど日本人もいない場所で、孤独に耐え、フランス語のRの発音が
できなくてヒステリーを起こしている等身大の岸恵子の姿が描かれて
なかなか面白い。
あと、朝吹登水子。
おじいさんが日露戦争の長岡外史であり、
父親の叔母さんが慶応義塾大学の創始者、福沢諭吉の姉と、
すごい一家で超お嬢さま。
だけど、やっぱり語られる自伝では、結構苦労してるんですよね。

うん、そういう生き生きとした描写がないんですよ。

それで調べていくと、一切、デヴィ夫人はそういう泣き言をいわないけど、
スカルノ大統領と出会わせて、インドネシアへ送り込んだのは
当局の差し金だったらしいんですよね。

デヴィ夫人がスカルノ大統領と出会ったとき、
デヴィ夫人19歳、かたやスカルノ大統領は61歳でした。
しかもスカルノ大統領は、妻が愛人がうようよいるような人で
政治家としても有能だったみたいですが、
要するに『英雄色を好む』という部類だったらしいです。

でも、当時の日本はどうしてもインドネシアの援助が欲しかったのです。
それで差し出されたいわば「人身御供」だったんですね。

そしてその結婚も、日東貿易社員として、
スカルノ大統領の秘書として働くという名目だったみたいだけど、
実際は愛人稼業だったみたいです。

そのおかげで日本にいる母親と弟を亡くしてしまった。
これについては本当にデヴィさんが可哀そうだと思います。

デヴィさんは、使い捨ての駒にされたんですよね。
それならせめて病気の母親と大学生の弟さんの立場ぐらい守ってやったら
よさそうなものだったのに。

今日の日本の繁栄っていうのは、
案外こんなふうに影でデヴィさんみたいな女性がたくさんいたのかもしれないです。
日本も、北朝鮮の拉致のことなんか悪くいえないですね。
こんなことをしてたんじゃ。




なんかこれ、すごく可哀そうな話だと思うんですよ。
たしかにデヴィ夫人は超弩級の美貌を誇っていた。
だけど、もしデヴィ夫人が岸恵子のように、きちんとしたエリートサラリーマンの娘だったら、
こういう人権をないがしろにした話は出て来なかったと思うんですよ。

そこへ喰うや喰わずの、さらわれても誰からも文句を付けられなかった
娘を選んで人身御供として差し出す。

日本もこういう時代があったんだなぁってシミジミします。



実際、デヴィ夫人の前にもこういう人身御供みたいなことはあったみたいですが、
あまりにスカルノさんの周りの愛人同士の人間関係が熾烈で
疲弊しちゃって亡くなったそうです。

そこへ持ち前の負けん気と、聡明さで、
愛人レースを勝ち抜いてたとえ第三夫人でも、
国家元首の妻の座をつかんだんだからたいしたものだと思います。

小さい時から、貧しさに堪え、いつかこの境遇から抜け出して
出世してキラキラと輝いて見せるという、強烈な上昇志向があったから、
抜け目なくお金を別の口座を作って守ったと言われてますし、
スカルノ大統領が亡くなったときに、妻として財産分与された時の
金額も20億を下らないだろうと言われているそうです。

だから、フランスの社交界で『東洋の真珠』と謳われて
君臨することができたのでしょうね。

いや、本当にすごい人です。
ただ、単にキレイだったというだけではすませられない人生です。

普通だったら、自分と過去の相手について、あることないこと書くのが普通なのに、
それらのことを一切お書きになっておられない。
「みんなそれぞれ素敵な人たち」っておっしゃっておられるところが
本当にごりっぱです。




でも人に言われるぬ苦労をなさってきたとしても、
一人娘さんとお婿さんの間に、お孫さんもたくさん生まれて
それぞれお幸せに過ごしておられるからよかったなって心から思います。




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Yui

デヴィ夫人とはそういう人だったのですか。
私の亡き母などは出自の卑しさや愛人上がりの第3夫人ということをとても嫌っていました。
ちょっと読んでみようと思います。
しかし、女の人生ってやっぱり難しいですねえ。美人でもそうでなくても、自信があってもなくても、悩みどころ満載です。
by Yui (2019-02-16 11:21) 

sadafusa

デヴィ夫人は自分のことを
『社交界の華』と呼ばれていたと書いてありました。
なるほど、多少やっぱりキワモノっぽいんだけど、
その抗いようのない美しさに負けて、みな社交界の人は
こういう人を迎えるんだろうなって
少し、『マダムX』のときの、プロフェッショナル・ビューティーの意味が解ったような気がします。

お母さまがデヴィ夫人ことを嫌うのは解りますよ。
この人はれっきとした「高級娼婦」です。
椿姫のマルグリットとやってることは一緒です。
実際にアルマンよりももっと身分の高い公爵さまやら
伯爵さまみたいな人に「愛人」じゃなくて
結婚を申し込まれていたりしています。

でも、やはり白人じゃないのと、
出自が低いことがネックとなって実現しなかったみたいですが。

でもデヴィ夫人の偉いところは常に自分を磨くことには
努力を惜しまなかったってことでしょうかね。

強い女であっても、弱いふりをしていなさいというところを
これをこの記事を書いていて、ふと考えました。

たぶんスカルノ大統領も他の恋人たちも
デヴィ夫人が実は強い女だったことを見抜いていたと思うのです。

ですが、佐藤賢一の小説の「王妃の離婚」の強い王妃ジャンヌが
を助ける弁護士フランソワの名文句が浮かぶのです。
「強い女が頑張って、頑張って、あげく、
 ふらとよろめかれてしまったとき、
 どうやっても守りたいと思うのですよ。 
 そのためなら、不可能にだって、あえて挑む気になるものです」
と。
案外、男はデヴィ夫人の強さから垣間見える健気さに心打たれて、
デヴィ夫人のとりこになってしまうのかもしれないと思うのです。
by sadafusa (2019-02-16 14:17) 

Yui

プロフェッショナル・ビューティーですか。今はプロ彼女というのもあるようですよ。
たぶん、母の時代は素人と玄人の線引きがくっきりあったのですね。
どっちにしても男性目線だなあと思います。
芸者の身請けとか。ホストクラブの2重売春とか。
by Yui (2019-02-16 20:22) 

sadafusa

プロ彼女って何だ?と思ってググってみたら
有名な芸能人(オトコ)の妻になるような人のことを言うのだそうです。美しくて聡明で、そいでもって自己主張しなくて内助の功をしっかりやる女。一瞬、小林麻央さんが頭の中に浮かびましたが。

いやいやいや、もうなんか世の中おかしいよね。こういうのは昔の『お妾さん』じゃないの? 何のために生きているのかよくわからないです。

ほんと、こういうの男視線だよね。
デヴィ夫人のスカルノ大統領送りについては、児玉 誉士夫を関与していたといわれています。
こんな人身売買みたいなことよくやらせるよなぁって感じ。

しかしそういう男の思惑を逆手にとって
強く生きているんだから、デヴィ夫人ってすごいわwww

by sadafusa (2019-02-16 22:24) 

ぼんぼちぼちぼち

デヴィ夫人のお若い頃ってほんとに綺麗でやすよね。
第三夫人になるまで、そんな裏事情があったとは、、、驚きやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-02-20 15:31) 

sadafusa

ぼんぼちさん。

デヴィ夫人ってテレビ見てると本当に毒舌で
「アータ、二度ほど死ねばいいんじゃない?」って
すごいセリフすらっと言ってて怖いなぁ~って思っていたけど、
結局、デヴィ夫人は家族のためを思ってインドネシアに行ったんですよね。それなのに、お母さんと弟さんをいっぺんに失ってしまって、本当に悲惨です。

たぶんね、あのものすごくきれいな顔で
「あなた、二度くらい死ねばいいじゃない?」ってすらっとライバルに言って、第三夫人のタイトルを勝ち取ったんだと思うんですよね。
だからといってデヴィ夫人って、ただの狡賢い毒婦ってわけでもなく、人の痛みがよくわかる人なんですよね。
そういう気の強いとこ、健気なところが、男の人の心の琴線にひっかかるんじゃないかと思います。


by sadafusa (2019-02-20 16:26) 

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