天正少年遣欧使節『MAGI』 ファンタジックに語られる四人の少年の物語 [読書・映画感想]

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こんにちは~。今年は桜の花のモチが異様に長くて本当にいい春でした。
私は三月の下旬ごろに、『錦帯橋』の絵をかいて欲しいという、オーダーが入った
娘について行って岩国まで行ってきました。岩国の春も本当に美しかったです。
今年はいつも行っている吉野はやめにして、三井寺に行ってきたのですが、
三井寺ってこんなに桜が美しい所だったのですね、三井寺の山全体が桜色に染まって本当に
きれいでしたし、さすがに昔から名刹として名高いお寺だけに
伽藍も非常に立派でした。

ちょっとお茶目なのは「るろうに剣心」の看板が立っていて、
「ここで撮影されましたよ」って書いてあったの。
私は映画を見ていて「ここって高野山?」と思っていたので、
疑問が解けてスッキリしました。

京都は昔から何度も何度も火事で街が焼けてしまって、
意外とふるーいものって残ってなかったりしますが、
比叡山を越した、坂本あたりは、室町時代以来の古い以降とか
庭園などが残されていて結構面白いところです。


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さて!
1月からずうっとずうっとパソコンに張り付いて、
来る日も来る日も小説を書いていたのですが、
三か月も書いていると、頭の中にあるものはすっかり出尽くした感じがします。
やはり気候がよいこれからの季節は
しっかりと外へ出かけたり、本を読んだり、ドラマや映画を見て、
内面を肥やすことに時間を費やしたいと思います。

さて、そういうわけで脱稿したあと、さっそくドラマを見ました。
それはじゃ~ん『MAGI』です。

これは私がAmazonプライムに入会しているので
見られる特典なのですが、
このドラマはAmazonが作ったもののようです?
(よくわからないのですが)

2019年1月から世界に向けて同時公開と書いてありましたので
比較的新しい作品でしょうか。

このドラマの主人公は戦国時代にイエズス会によって西洋に派遣された
四人の少年です。
「天正遣欧使節」ですね。

伊東マンショ、原マルティノ、中浦ジュリアン、千々和ミゲルという四人の少年です。
これって、歴史の教科書にもちらりと書かれていると思うからみんな一応名前だけは
聞いたことがあるわって思う人が多いと思うんですよ。

あたしもそれと全く同じで、
へぇーそういうのがあったんだ。ってぐらいしか知りませんでした。

で、今から10年ほど前かなぁ、
この四人の少年たちについて書かれた本があって
それで初めて、この少年たちがどうしていたのか全貌をつかむことができました。




クアトロ・ラガッツィ 上 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)

クアトロ・ラガッツィ 上 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)

  • 作者: 若桑 みどり
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/03/19
  • メディア: 文庫



クアトロ・ラガッツィ 下 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)

クアトロ・ラガッツィ 下 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)

  • 作者: 若桑 みどり
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/03/19
  • メディア: 文庫




作者は若桑みどりさんという方で、この方は学者さんなのですね。美術史の。
だから、非常に詳しいのだけど、ちょっと文章が難しくてなかなか読むのに骨が折れた本です。
それでも、この本は学術論文ではなく、一般向けに書かれた教養書だったから
読めたような(他のは挫折しています 汗)


ドラマでは「マギ」というタイトルをついていますが、これって
バックグランドを全く知らない人がみて「なんでマギ?」ってことになると思うんですよね。

で、マギとはそもそも何かっていうと、
キリスト教ではイエスが生まれたとき、星が大きく輝いて、
それを見た東宝の三賢者が「救い主になるような偉大な人物が生まれた」ってことを知るんですね。
それで、わざわざ東からえっちらおっちらとイエスのところに来るのです。
名前が、バルタザール、ガスパール、メリキオールといいます。


当時、イエズス会の東洋の巡察師であったバリニャーノという人は
極東の日本人の少年を「東方三賢者に見立ててローマに派遣してはどうか?」という
壮大な夢を思いつくんですよ。

で、だけど四人の少年とこの東方三賢者となんのつながりがあるの?って思いますよね。
私も思っていました。
当時は船に乗って、日本からヨーロッパへ行くのはものすごい大旅行でした。
途中で死ぬことも多かったみたいです。
ですから、本当は三人でもよかったのですが、ひとりはなんと、「スペア」だったんです。

スペア!


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まぁ、外枠のハナシはこれくらいにしておきまして、
ドラマの中身を言いますね。

なんの前知識もなくても、このドラマって非常に楽しくて
ファンタジックでかわいらしいドラマだったと思います。

主人公の四人の少年はみんなイケメンでかわいらしい男の子ばっかりだったですし、
容貌が優れているので、日本人には結構恥ずかしい恰好である16世紀のヨーロッパの
エリザベス・カラーにカボチャズボンが非常によく似合っていた。

でも、貴人に拝謁するときは、皆本来の日本人の正装である裃を着るんですね。
それがまぁ、なんていうのかな、金襴で作ってあるのだけど、
みな花柄でピンクとか水色とか、まるで人形浄瑠璃に出てくる「お城の若さま」のような
かわいらしい恰好なんですよ。そこがまたよかったなぁと。

そして、四人の少年がいわゆる「カトリックの信仰に燃える日本人」という切り口ではなく、
「みんなそれぞれ他の目論見があって、カトリックを利用しているにすぎない」
というふうにきわめて現代的な視線で描かれていたのが、素直に共感できる気がしてよかったです。

マルティノは日本のコレジョ(英語のカレッジね)では一番の秀才で、
ポルトガルもラテン語もできました。
彼は広い世界に出て、いろんなことを吸収したいと思って出かけるんですね。

マンショは、戦乱の世で負けたある領主の息子だったようです。
ですが、一族郎党すべてを失った今、自分の生き方がわからず、こういう世を作った
信長に拝謁したいがためにキリシタンに近づいた少年として描かれていました。

信長に拝謁したとき、「イエスの愛とは何か」「自分がまっすぐに立っていられるためにどういう手立てを成すべきなのか」をしかとヨーロッパへ行って学んで参れと送り出されたのですね。


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しかし、ヨーロッパへ行っても、そこには日本とは違う文明国家があるだけで、
キリスト教の宣教師たちが説く、イエスの愛を実践している天国はありませんでした。

そりゃそうですよね。キリスト教も仏教も根本的にはそんなに違わないものだと思います。
ただ、日本人が何に惹かれてキリスト教に改宗するかといえば、
宣教師の姿を見て、「キリストの愛の実践している」と思うからでしょうね。

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少年たちは長崎からゴアへ行き、そこからアフリカの喜望峰を通り、北上して
ポルトガルのリスボンへいき、スペインのフェリペ二世に会い、
そこから、地中海で船に乗ってイタリアへいき、ボローニャに行き、フィレンツェへ行き、
ローマへ行ってローマ教皇に拝謁して帰るのですね。


史実では中浦ジュリアンは、マギに扮しているので、
教皇に拝謁できなかったとあります。

ですがドラマでは、教皇は「本当は三人ではなく、四人でやって来た」と知るのです。
すると、「なぜ、全員でやってこなかったのか。ぜひ私に会いに来なさい」
といって、中浦ジュリアンだけがひとりで、教皇に会うシーンがあります。

教皇はジュリアンをひしと抱いて「よくやって来た」と歓迎するのですよ。

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中浦ジュリアンは、本当は教皇に拝謁していません。
ですが、一番激しくキリシタンとして生きた人です。
たぶんですが、ローマに足を運んでいながら、
バチカンに行けなかったことが、彼の生涯に暗い影を落としていたのじゃないかなって
思うのです。

彼が、一番惨い方法で殉教される直前、こう叫んだといいます。
「われこそは、かつてローマに赴きし中浦ジュリアンぞ」と。

ですから、たとえフィクションでも
中浦ジュリアンが教皇に拝謁したシーンがあるのは、
ジュリアンにとって良かったと思えるのです。

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