自己の充実をはかるには ① [読書・映画感想]

こんにちは。気持ちのいい日が続きますね。

昨日は中秋の名月でしたが、本当に大きくて美しい満月でした。

昨日はそれと同時に夫の誕生日でもありまして、
私達夫婦と娘夫婦と四人で美味しいものを食べて
お祝いしました。

こんなふうに気のおけない人たちのために、昨晩から材料を仕込んで
朝から準備をし、自作のパンを焼き、オードブルやメインデッシュを作って
みんなで集まると会話が弾んで本当に楽しかったです。




~~~~~~~~~~~~~~~~~

さて、私のライフワークのひとつに親との関係を乗り越えて
自分の人生の充実を図るということがあります。

私は長い間、親との関係に悩んできました。
最近でこそ、「毒親」ということばが定着しつつあり、
必ずしも親という存在は子供にとって愛情に溢れたものではないという
考えが定着してきた感がありますが、

私の若い頃などは、「親孝行」というのは当たり前のことであり、
自分の親を悪く言うだけでも、社会の常識にそれていると見なされていたような気がします。

どんなに親が子供を精神的、肉体的に虐待しようとも
「それでも親は何パーセントかの愛情を持って接しているはずだ」
「だから親に感謝すべき」
「だから親をいたわるべき」

っていうのが本当に根強い考えでありまして、それがどうにも苦しかったです。

ですが、1990年代に初めて「AC アダルト・チルドレン」ということばとともに、
親の加害性の犠牲になって、本来ならのびのびと幸せに包まれた幼児期・児童期を
取り上げられた子供たちを心理カウンセラーの方たちがそれを本にまとめて出版して
世に知らしめたんですね。

ACといわれる方々は成人になっても心の闇が深く、癒やされることもなく、
苦しみながら生きているのです。

そしてACは世の中には結構いるんですよ。





最近、また毒親サバイバーといわれる方たちの本をまとめて何冊か読みました。



毒親サバイバル (中経☆コミックス)

毒親サバイバル (中経☆コミックス)

  • 作者: 菊池 真理子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/08/31
  • メディア: Kindle版






角川つばさ文庫版 母さんがどんなに僕を嫌いでも

角川つばさ文庫版 母さんがどんなに僕を嫌いでも

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/10/15
  • メディア: 新書





しんどい母から逃げる!! ~いったん親のせいにしてみたら案外うまくいった~

しんどい母から逃げる!! ~いったん親のせいにしてみたら案外うまくいった~

  • 作者: 田房永子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: Kindle版



の三冊です。


これって基本的に三冊とも漫画なんですね。(「母さんがどんなに僕を嫌いでも」はもともと漫画だったのをノベライズ化したものを読みました)


どの本も、結構みんな衝撃的でですね、こんなものをまともに文章にしてしまうと、
重すぎてとてもじゃないけど、最後まで読みおおせないです。

「真実は小説よりも奇なり」をそのまま行ったような内容です。
簡単に内容を紹介しますと、「毒親サバイバル」は、いわゆる毒親に育てられた11人の方に
インタビューした内容をまとめたものですね。

子供はそれがどんなに苦しみに満ちたものであったとしても、他を知ることができないので、
自分の家庭が「当たり前」になるんですよ。
そして、当然のことながら、幼児というのは親に見捨てられればそれは即、死につながると
本能的に知っているので、どんなに親にひどいことをされても反撃することもなく、
親を無条件に愛するのです。

11人の方々は男女ともにいらっしゃって、中には漫画家、医療記者、文筆家、主婦など職業はさまざまです。
その方たちが親にされてきたことといえば、放置、過干渉、性的虐待、暴力、精神的虐待、もう、ありとあらゆる事が家庭という密室で起こっているのですね。

一昔前なら「これは家の恥になることだから、言えない」っていう気風が強かったのですが、
それでもこの漫画に出てこられる方たちのように、自分の家庭で何が起こっていたのかを詳らかにする人たちが現れるようになりました。

これって相当な勇気だと私には思えるのです。
子供にとって一番しんどいことがですね、おそらく親から屈辱的なことを言われることだと思うんですよ。そりゃあ、直接暴力という手段も酷いは酷いんですが、そこに恥をかかせるとでも言うんですかね~。親が子供が自尊心が保てないように、侮蔑のことばを投げかけるのがしんどいんです。

おそらくどの人も過去には虐待とともに屈辱的な思い出が蘇ってくるので、それにきちんと対峙できるのが本当に強いなって私などは思ってしまう。


 2冊目の「母さんがどんなに僕を嫌いでも」という本は、本当にこんな親っているのか?って思うほど鬼のような母親の話です。


たいてい不幸な家庭というのは、夫婦仲が悪いものなのですよ。
この本の主人公である、歌川さんの家庭もそうでした。

歌川さんは、どうやらお父さんが浮気している間に出来た子らしく、
それもお母さんが望んで妊娠したわけでなく、「家の跡とり=男の子を産め」という
圧力に負けて妊娠したらしいのです。

そして歌川さんのお母さんはどうしても歌川さんが可愛いと思えなかったみたいですね。
わかります、私の場合もそうでした。

歌川さんのお母さんは、近所でも評判の美人でしたので、
夫婦仲が悪くても、彼女の美貌に群がる男たちがいっぱい。

いつしかお母さんのほうも不倫をしていたのですが、
歌川さんのことが邪魔になって捨てるんですよね。そして施設に預けるのです。

はぁ~、いくら夫がよそに女を作って不仲であっても、
自分の子供が邪魔になって捨てたりできるもんなのかな~って
その所業に戦慄するのですが、


歌川さんが17歳の高校2年生のとき、お母さんが本気で包丁で歌川さんを殺そうとし、
あわやというところで難を逃れたのですが、

歌川さんはそのとき、心の中で何かが弾け、家出をして一人で暮らしていくのでした。
歌川さんはもともと賢く、人間力の合った人なのでしょう、自力で大検に合格し、
その後、通信教育制の大学へ行き、一流会社へと就職も決まるのです。

私が信じられないことに、歌川さんはその後、お母さんとの再会を果たすのですよ。
私ならいつまでも親とのことで怒りを持っているとこれからの人生を勧めなくなるので、
決着はつけたいと思いますが、絶対に再会はしないと思いますね。

だって包丁で切りつけて怪我させられて、下手したら殺されていたんですよ?
そんな人間には、見切りをつけたいと思います。
(私は昔から、ある意味ものすごくドライなところがある人間でした)


歌川さんがお母さんの実家のほうへ行ってリサーチしたところ、
お母さんの両親、つまり歌川さんにとって、祖父母にあたる人も
お母さんを虐待していたようです。

つまりですね、愛を十全にもらえなかった人というのは、
愛着障害というのに、陥るんですよ。
いつも見捨てられるのではないか、裏切られるのではないかと不安なのです。

子供の虐待の恐ろしさというのは、その限定された親子間だけのトラブルにとどまらず、
その子供が成人して結婚したとき、また子供を虐待してしまうという
負の連鎖が延々と続いてしまうことなんですね。

だから、誰かがどこかでそれを気づいて、
自分の歪んだ認知を正さなければ、永遠に止むことなないということです。

三番目の「しんどい母から逃げる!」というのは、
正直いって、他の2冊はまだ客観視することができるのですが、
この作者の田房永子さんのお母さんっていうのが、結構ウチの母親に
似たタイプの人で、読んでいて冷や汗をかいてしまいました。

それというのも、このお母さんって褒めては貶すってことの繰り返しをして
子供のやる気とか喜びを削いていくんですよ。
いわゆるダブルバインドな親です。


田房さんはお母さんの強い希望で、市立中学を受験するのですね。
初めは受験を勧めるお母さんに反対していた彼女なのですが、
あまりのしつこさに音を上げて、受験することを決意します。
死にものぐるいで勉強して志望校へ入学できたまではいいのですが、
それはあくまでも、母親の希望を叶えたに過ぎないのですよ。

ですが、母親が荒れ狂うとき、「せっかく、おまえが入りたいっていうから
授業料の高い私立へ入れてやったんだろ! それなのに、なんだ? この成績は?」
みたいに言うんですよ。

これね~、うちの親もよくやる手口でして
「あれ? 私そんなこと言ったんだっけ? ごめんなさい、お母さん」
ってなってしまうんですよ。
自分の言動に急に自信がなくなるんですね。
「そんなこと言ってないわ!」と強く出られないのです。

というのも、私は時々すっぽりと過去の記憶がなくなっていることがあったんです。

だから、自分自身っていうものでさえ、信用ならなかったんです。
(結局、人間は過去の記憶が自分にとってあまりに辛く耐え難いものになってしまうと、
一種の防衛本能が働いて、記憶を消去してしまうらしいです。)


私は、幼少期蓄膿症だったらしいのですが、それを察知できなかった母親が「何だ、おまえはいつもウスノロみたいに、口をぽか~んと開けやがって」とかなんとか言われて、ぶん殴られていたらしいのですが、今でも全く覚えていないのですね。
他にも頻尿でトイレにしょっちゅう行っていたので医者に連れて行ったところ、「精神不安定ですね」という診断だったらしいです。
このとき母は「私に恥をかかせやがって!」といって滅多叩きをしたらしいですが、記憶にはありません。
当時の写真を見ると、幼児の私はひとりで、ぽつんと座って砂いじりしている写真しかないんです。
「あんときのおまえはまるで浮浪児のようだった」
とよく母親は私を嘲笑っていましたが(よくも自分の落ち度になるはずのことをあざ笑うことができるものだとその精神構造を疑いますが、所詮はこういう人なので仕方がありません)、人がいることが怖かったのだと思います。

普通、良識的な親なら子供が「精神不安定です」って診断を受けたなら、反省するのでしょうが、ウチの親はまだ年端もいかぬ娘のせいにして殴ることで、精神の均衡が保てたようです。

本当にひどい親ですね~。


小さい子供のときの自分を抱きしめてやりたい、と思います。





田房さんのお母さんはまた、「ノノシラー(すごい暴言で罵りまくる人)」でありまして、田房さんが一番言われたくないことを敏感に察知し、完膚無きまでに罵り言葉で打ちのめすのです。

これも非常に似てます。

あと、お母さんだけでも厄介なのですが、新たに出来た恋人が筋金入りの「ノノシラー」なんですよ。
こんなふたりに精神的に炒め続けられたら、本当にどうにかなってしまいます。

私も実の兄が彼女の恋人の「ノノシラー」にあたりまして、兄は本当に怖い、怖い、暴君でした。
なにかあると、罵り言葉のほかに、お腹をドンっと足で力いっぱい蹴られるんです。

それをみて母親は
「子どもたちって無邪気でいいわね~。またふたりでじゃれ合っているわw」
と笑っていました。
いやいやいや、こっちは命の危険を感じていたのに、
全く助けようとしないのはどうなのか。


あと兄の嘲り方がすごかった。
「おまえの話はわけがわからない、バカ、死ねっ!」
「おまえはブスでデブ。だから2つ合わせてデブスだ! これからデブスと呼ぶからな!」
「おまえの頭の悪さは最悪。バカが移るから近寄るな、ブス!」

女の子に「ブス」って言っている息子をたしなめたりは絶対にしないのですよね。
どんなに母親に「辛い」といっても無駄でした。
それでも小さい時の私は、基本的には兄を恨むことはせず、
どうしたらブスでダメな自分を兄が受けていれくれるのか、
赦してくれるのか、
ず~っとそればっかりを考えていたような気がします。



読みながら、途中で何度も本を閉じて、ため息をついてしまいました。



普通は家庭というのは、安全な場所のはずです。
それなのに家庭でさえ、心の休まる場所ではなかったのですね。


私は小さい頃よく、真っ暗な部屋の学習机の下に潜り、蓋をするように自分の正面に椅子を置いてじっとしていたことが多かった気がします。そうしないと不安で不安でならなかったからです。
机と椅子でバリケードを作って自分を守っていたんでしょうね、おそらく。


田房さんはエキセントリックな両親と恋人から逃れ、漫画で身を立てていくことができるようになり、
自分で部屋を借ります。そしてネットで注文した自分の好みのケトルが届いたのを見て、感涙してしまうのです。
「自分の選んだもの…。なんていいんだろう!」って。
なぜなら、親や恋人の前ではさんざん自分の好みをバカにされてきたからです。

ここまで読んで、号泣してしまいました。
本当にわかりすぎて、辛かった。




田房さんも今は素敵なご夫君に出会うことができて、結婚され、お子さんもいらっしゃるようです。
こんどこそ、みんなで力をあわせてなごやかなご家庭を築かれることを祈ってやみません。









長くなりますので、これの続きは次回へとまわしたいと思います。




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ぼんぼちぼちぼち

今回の記事、おおいに頷きながら読ませていただきやした。
あっしは実際には、記事で紹介されている本を読んではいないでやすが、読んだら間違いなく「そうそう、あるある、解る〜」って思うと思いやす。

あとこれは、自分のブログでは書いてないことなんでやすが、弟は母親から性的虐待を受けてやした。
つまり、醜くて見るのも嫌なぼんぼちに対してお前は可愛いねぇ、と 表向きは溺愛するふりをして性のおもちゃにしてやした。
母親が死んだ時、弟はまだ自分でそれを虐待だと認められずに、4回自殺未遂をしやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2020-10-04 15:47) 

sadafusa

ぼんぼちさん

実はですね、この記事、書くのが相当に辛かったのです。
なにか自分の親の非道な所業を客観的に淡々と書いていくうちに
なんだか死にたくなってくるんですね~。
苦しい思いとか悲しい思いっていうのも辛いのですが、
一番イヤなのが屈辱的な思い、みっともない思い出です。

弟さん、それは、、、、相当、屈辱的な思いをされたんでしょうね。
ご自分はどうしてそういうことをしてしまうのかわからないんでしょうが、リストカットとか自殺未遂は、性被害を受けた子どもたちがよくやる誤作動だそうです。

だってね、そういうことをさせられるっていうことは、幼くてもわかってなくても、自分の尊厳を著しく傷つけられることなのですよね。

こういう子供は、精神的に去勢されちゃっているのですよ、その時点で。まともな男として生きることができない。

またですね、一方で、父親から性被害をうけた女性などは
そういうことを忘れていたくて、そして自分が女性であることを否定してですね、解離性同一障害になって自分とは全然別の、好戦的な男の人の人格が生まれてきたりするんですよね。

子供は嫌だと言えないんですよ。
お母様、鬼畜ですね。申し訳ないけどそうとしか思えない。

そんなに男が欲しいなら、よそにいってやれよ、ってマジで思います。救いはうちの親みたいに長生きしなかったことぐらいですかね。

本当にお気の毒だったとしか思い浮かぶ言葉がありません。
by sadafusa (2020-10-04 18:46) 

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