イイオトコの系譜④ [イイオトコの系譜]

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イマイチ恋人同士に見えない不思議な絵だ!


こんにちは!

急に寒くなってきましたよ、京都は。

さて、ちょっと③のレオニードについて、あれからちょっと考えてみたのですが、(まったくどうでもいいことですけど)レオニードって名前はギリシャのスパルタの王であり、英雄であるレオニダスから来ているんじゃないか?って話をしました。

やはり予想は当たっていまして、レオニ―ドはレオニダスから来ているようです。このように、ロシアって他の西欧や中欧と違い、ギリシャ文化を直接伝えられた土地でもあり、ラテン文字ではなく、キリル文字っていうギリシャ文字を変化させた文字を使用して、文化が独特なんですね。


で、なんでそんなことを言っているかというと、ふと、ユリウスのミドルネームが「レオンハルト」じゃないですか?

もしかして、レオンハルトってレオニードと互換可能なのかな?って思ったのです。
レオニダスの意味は「獅子の子」と言う意味なのだそうです。
でも、レオンハルトって、ライオン・ハートっていう意味だし(リチャード獅子心王と一緒」
また、レオナルドのレオというのは、レオン(ギリシャ語)のラテン系で、ナルドっていうのもどうやらゲルマンの言葉らしくて「獅子のように強い」らしいんですよねぇ。

もしかしたら、互換可能なのかもしれないけど、派生した大元がちょっと違うかなって感じです。
そのままそっくり同じ名前だったら、つまり、ユリウスとレオニードが名前が一緒だったら、結構面白い偶然の一致だと思ったのですが、そうは単純にいかなかったようです。

西洋の名前って面白いです。古い名前はヘブライわたり、ギリシャわたり、ラテン語わたり、といろいろあって。モーリス(Maurice)って名前もロシアじゃ、マヴリーキー(東ローマ皇帝 マウリキウス Mauriciusに由来する)ですからね。でもカタカナにしてみると、「ええ?」って感じですが、アルファベットにしてみると、UをVに読んで、Cを「サ行」じゃくて「カ行」の発音にすると「ああ、なるほど」と納得することも多いです。

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初っ端から脱線気味ですが

今日は、アレクセイにしましょう!

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レオニードの恋敵であり、ユリウス不滅の恋人!ですよね。
わたし、ず~っと長いこと、レオニードとアレクセイどっちがいいかな、と思って、「やっぱアレクセイだ!」と思っていましたが、それは最終的にユリウスがアレクセイを選んだからなんであって、最近、「アレクセイってちょっとなぁ」と思うこと多いです。

アレクセイと言う名前は、ローマで殉教した聖人「アレクシウス Alexius」から来ています。そしてアレクシス Alexis から Aleksej と綴りと発音が変化するんですね、ロシア風に。

昔スター・ウォーズにでてきた、オビ=ワンを演じていた俳優さんはアレック・ギネスって人だったけど、あれは、アレクシスの英語風につづめた名前だと思います。トマス・ハーディスの『テス』出て来るアレックも同様。

もし、ユリウスとアレクセイの娘が生きていて、その娘に父親譲りの名前を付けるとすれば、
Alexa  アレクサ か Alexia アレクシアって名前にするでしょうね、たぶん。
もちろん。アレクシスそのまま、女のコにも使えるようです。(インスタで人気のアレクシス・レンっていう子もいるし)

母親の名前を譲られるとすれば、ユリア・アレクセイエヴナ・ミハイロヴァ になるのか。
ロシアって必ず、真ん中に父親が誰かっていうアレクセイエヴナみたいなのがはいるのよ。
親しい人なら必ず、「ユリア・アレクセイエヴナ」と呼ぶみたいね。

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名前の話ばっかりになってしまいました!

アレクセイですね、アレクセイ。

アレクセイは、一部、三部と出てきます。
一部のときは、レーゲンスブルグ時代で、ザンクト・ゼバスチャンの音楽学校の生徒だった時代です。
このころは、洒脱でお茶目で、ちょっと大人っぽくてセクシーで、そしてどこかミステリアスな少年と描かれていました。

よく考えてみれば、この頃のアレクセイが一番魅力的なんですよね。彼本来の輝きとでもいいましょうか、あんまりいろんなものに縛られていないのびやかさがあると思います。

ただし、三部になって彼の生い立ちなどが明らかになってきますと、いろんな重たーいくびきがわかってきます。

彼は、名門ミハイロフ家の次男ということになっていますが、実は七つぐらい違うお兄さんとは異母兄弟でありまして、要するにお父さんの愛人の子なんですよね。

わたしは、漫画以外読んだことないから、(なんたら事典みたいな、あとづけみたいなものは読まない主義)わからないのだけれど、本妻さんを早くに無くして、やもめ暮らしになったお父さんが領地に引きこもっている間に隣村の貧乏貴族の娘との間にできちゃった子なんじゃないかとも思ったりして。
領地の中の農奴の娘とも考えられるけど、、アレクセイはお母さんのメダイユとか持っていたし、農奴にしては品格があるような気がして。ミハイロフ家ってユスーポフ家に匹敵するような名門だったんでしょ?もし、農奴の間のコだったら、あまりにも母親が卑しいので嫡子としておばあさまが認めないと思うのですね。それで、たとえ相手が貴族の娘だとしても、格に開きが開きすぎておばあさまが「賤しい素性の女」と呼んだのではないかなしらんと。(まぁ、これはわたしなりの予想)まぁ、ユリウスのお母さんもなんとなく貧乏貴族の娘って感じがするから、二人とも似たような事情だったんでしょう。


で、問題なのは、その次なんですよね、
お兄さんが大貴族の跡取りのくせに、革命思想に侵されているんですよ。アレクセイが引き取られて、ひぃひぃ家を恋しがって泣いているときにすでにそうだったんで、アレクセイがお兄さんに認めてもらうためには、お兄さんの思想を受け入れなくちゃいけないじゃないの。

そこがすでに悲劇の萌芽というか…。たった六つかそこらの子供に「世の中を変えなければ!」みたいなことを言われてもね。ただ、アレクセイがこの家で生き延びるためにはそういうお兄さんを受け入れなければならなかったってことです。


そして、ご丁寧にしばらくするとお兄さんの婚約者で美人のドイツ人、アルラウネって人が現れるんですよね。この人、頭も良くて気が強くて、男勝りな人だったんですが、それが新鮮だったのか、アレクセイはほのかに恋心を抱くのですが、これがまたお兄さん以上に革命思想に凝り固まったような人で、嫌も応もなく、彼を革命家に追い立てていくんですよね。

まぁ、アルラウネも婚約者であるアレクセイの兄、ドミートリィが皇帝の暗殺に加わった反逆者として処刑されちゃったもんだから、たぎる情熱みたいなものを弟にぶちまけてしまうっていうのも一因ですね。

別に兄は兄、弟は弟であって、兄弟そろって同じ道を歩まなくてもよかろうに、などと私は思うのだけれど、そうは問屋が卸さないんです。


で、兄が処刑されたため、弟も嫌疑がかかって亡命したのだけれど、またしばらくするとアルラウネとアレクセイはロシアにいって活動するために戻っていくのです。


で、すぐに捕まる。そしてシベリアに8年程流刑ですよ。
アレクセイってボリシェヴィキの若き指導者みたいに描かれているけど、捕まったの18歳ですよ。ほんの小僧っ子じゃない? どこまで革命ってわかっていたのかなって思うけど。

そして、九死に一生を得て、シベリアからペテルブルグに戻って来た時に、ユリウスに出会うのです。

わたしは、ユリウスのこの一途さが、すごく愛しい気がします。彼女はいろいろと脆いところがある女性なんだけれど、こと「愛する人」を希求する、って段になると、まったく迷いがないのね、どんなにつらくても、どんなに孤独であっても、じっと耐える。これがユリウスのユリウスたる所以といいますか、すごく魅力的なところ。

オスカルはかっこいいけど、こと、恋になると受け身。反対にユリウスは能動的に自分からどんなに拒絶されようと、諦めないしぶとさというか、ガッツがあるね。そこを評価したいです。

ですが、アレクセイっていう人は革命家だから仕方ないのかなって思うけど、案外、ユリウスが殺されたかもしれない、っていう段になっても、あんまり真剣に彼女の行方を探したりしないんですよね。どうもそういうところ、解せないっていうか、ちょっとユリウスが可哀想。

かといって、勝手に自分が捨てたくせに、その後記憶を失って、レオニードのところに身を寄せていたと知ると、すごい嫉妬したりするし…。(別に関係があってもなくても、どうでもいいことでしょ!)
それを実際に口に出してクドクド言われたりしたら、百年の恋も冷めますけどね~。(私なら、さようならするわw)

レオニードがひそかに気を付けて、彼女の動向を見てくれていたから、どうやら生き延びることができたけど、アレクセイだけだったら、とっくの昔に死んでいたと思います。

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最後に。

疑問に思っていたことがあって、ユリウスは金髪、アレクセイは亜麻色(フラクスン)の髪って書いてありましたが、
金髪だろうが亜麻色だろうが、向こうじゃブロンドと言われるものなのじゃないでしょうか?

まぁ、ブロンドといってもいろいろあって、本当に金色に近いものもあれば、本当に白金みたいに白い髪もあり、また灰色に近いもの、ちょっと赤みがかった、ストロベリーブロンドってものもあります。


ただ、西洋の赤ちゃんって生まれたばっかりの子供は皆、金髪で目が青いもんなんですよ。でも三か月ぐらいたつと、目のほうはだんだんと暗い色に移行する子がほとんどで、その子は大人になると茶色い目になったりすることが多い。ただ、本当に金髪になるんだろうな、って思わせる赤ちゃんも中にはいて、そういう子は本当に明るい真っ白な髪をしているそうなのです。要するに、金髪ってもんはうまれつきってわけでもなく、成人のとき、金髪ならず~っと金髪のまま、ってわけでもないらしい、ということです。
金髪の美少年だったレオナルド・ディカプリオは若い頃本当に輝くようなブロンドだったけど、最近は黒っぽいダーク・ブロンドに変わってきているように思うし…。そこらへんは日本人のわたしにはよくわからないことが多いです。

だから思うに、ふたりとも、ブロンドだったのよ…。


たしかにね、フランス人ってラテン系の国だから、本当に天然の金髪の人はレアで、それはそれは、周りに羨ましがられもするし、本人も本当に自慢にする大切な大切なものなのでしょうが、ドイツになると、少し事情は変わって来まして、金髪の人はチラホラといます。(それでも金髪って珍しいものなのだけれど)

ユリウスの金髪とオスカルの金髪って、ありがたさが全く違うの。オスカルの金髪は「ええっ!マジで? 金髪なの? すご~~いい! 世の中本当に金色の髪の毛の人もいるんだねっ!」ぐらいのレベル。
ユリウスのは「綺麗な金髪だねぇ、ブロンド美人だねぇ。ほぅっ」って感じ。感嘆の仕方がもっとナチュラルだと思います、たぶん。


あと、ちょっとなぁ、と思うことがあって、これって第一次大戦前の話なわけでしょ?
理代子先生はファッションには疎いのかなぁ~。ゼバス時代の全盛期ってヌーボォースタイルっていって、花がついたつばの大きな帽子を被って、ウエストをぎゅっと絞った細身のスタイルなんです。
ユリウスの夜会服(なのか? ものすごく胸の開いた服だったけど)は、あり得ない!というほど大時代がかったシロモノでした。(できるなら、アールヌーヴォー風に神を結い上げて、ステキなドレスを着ていて欲しかった)

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世紀末の典型的なスタイルです。

で、じょじょに1920年代になると、第一次世界大戦のあと、コルセットをはずして、フラッパースタイルが流行る。
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それなのに、三部のロシア時代の女性の格好はどうみても18半ばなのか?みたいな恰好なんですよねぇ。もうちょっと史実に忠実だったらもっと素敵だったのに、とちょっと残念に思います。
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1917年ぐらいだったらこういうドレスが流行っていたはず

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このユリウスのママンの格好は妥当なのですが、ときどきママンはバッスルスタイルで40年も昔の格好をしていたりして、変なときもあるのです。
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