インド夫婦茶碗 [読書・映画感想]

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最近、アマゾンのサブスクである、kindle unlimited を利用しています。
月額だいたい1000円、つまり単行本一冊ぐらいのお値段で
unlimitedと表示してあるものはどれだけ読んでもタダというシステムなんですね。

ちょっと前までは、unlimitedって表示してあるものが異様に少なく
全くお得感がなかったので、お試しだけをして延長はしなかったのですが、
最近、結構いろんな範囲に網羅していて、それなりにお得感があるので、
入会しています。

これのいいところは、普通だったら、絶対に買ってまで読まんわみたいなものが
月月千円で読めるのが、とてもいいところ。

最近、漫画も本当にいろんな種類のものが読めるようになりました。
そんなとき、見つけたのが、この本!

流水りん子さんの「インド夫婦茶碗」!!

インド夫婦茶碗 コミック 1-24巻 セット [コミック]

インド夫婦茶碗 コミック 1-24巻 セット [コミック]

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2018/03/10
  • メディア: コミック



これね、本当にいい本です!
なんていうのかな、温かい家族っていうのは、こんな感じかなってしみじみさせられちゃう。

作者の流水りん子さんは、私と同い年の漫画家さんです。
彼女は若い頃から10年ほどは一年の3分の2を漫画家として一生懸命働き、
あとはひたすらインド放浪の旅。
そしてバラナシで出会ったインド人男性と結婚するのですね!!
で、お二人の間にはアシタ君という男の子と、アルナちゃんという女の子が生まれるのです。

結婚してから子供が生まれて、お兄ちゃんのアシタ君が大学を卒業するまでの家族エッセイなんですよ。

りん子さんはそれまでお母さんと二人暮らしだったので、ご主人のサッシーさんが
日本に来ることになったのですが、漫画家さんとインドカレー屋さんをしていて
ふたりは猛烈に忙しいんですよ。

っていうのも、やはり一年に一度か長くても2年に一度はインドのお母さんに会うために、ケララ州の郷里へと帰らなければならないため、お金をせっせと稼ぐ必要があったからです。
やっぱり、いくらインドは物価が安いとはいっても、家族四人が海外渡航するっていうのは
結構なお金がかかるもんですよね。

日印ハーフのふたりのお子さんは生まれてしばらくすると、
家の近くの保育園へと預けるのですね。

私ね、自分の子供はなんだか不憫で保育園に預けられなかったのですが、
今から考えると幼稚園へ預けるより、保育園に預けたほうがよかったかなぁって思うことが多いんですよ。
っていうのも、今は核家族だし、ともすれば狭い家に母親と子供だけっていうのもお互いにストレスがかかるっていうかね。
で、幼稚園っていうのは、9時頃に始まって、終わるのが1半ぐらいで、本当にあっという間なんですよ。掃除して洗濯してスーパーへお買い物行っていたら、お迎えの時間だったみたいな。
それだけならともかく、私がものすごくイヤだったのは、幼稚園のお友達同士でお約束してくるんですよね。誰々ちゃんの家に遊びに行く、誰々ちゃんがウチに遊びに来るってね。
なんかそれが妙に煩わしかったんですよ、ママ友たちのおつきあいとか。

それならいっそのこと、保育園で精一杯遊んでこ~い!とか思ったりして。
保育園というのは、幼稚園とは違って教育の場というよりも、幼児の生活の場であるから、それはそれで非常にありがたいって思ったりするんですよね。

もちろんお仕事してなきゃ、保育園には入れないんだけど、子供の教育費っていうのは、高校にもなると莫大にお金がかかってくるものだし、教育資金を作るためにも、自分の生活を充実させるためにも、働いていたほうがいいような気がするんですよ。


私の述懐はさておき、
りん子さんは好むと好まざるとにかかわらず、お子さんふたりを保育園に入れて、
日中は漫画を作っていたりするんですよ。

で、またりん子さんのお母さんとかお姉さん夫婦のご家族っていうのが、
本当に温かい人たちでね、家族みんなが仲がいいんですよ。
でね、この家族っていうのは、基本的にみなさん「自己肯定感」が強い人たちなんですよ。

だからなのかなぁ、人を偏見で見たりすることがないから
インドが好きになり、国際結婚もできるのかなぁって思うんです。

まぁ、もちろん漫画にかかれていないことで、ご苦労されたことも多いとは思いますが、
それでも、なんかとてもうらやましく思いました。

お兄ちゃんのアシタ君は、のんびり屋さんだけど、人付き合いがよく、生真面目な性格。
妹のアルナちゃんは、怖いもの知らずの剛毅な性格。
運動神経抜群だけど、細かい仕事も好き。おしゃれな大好きな女の子なんですね。

ときどき、お母さんであるりん子さんやお父さんのサッシーさんにめちゃくちゃ叱られたりもするんだけど、親の愛ってもので強く繋がれているから、信頼感ってものがありますよね。


アルナちゃんのことでものすごく感動した箇所が2つあって、
アルナちゃんが小学校の低学年ぐらいのときかな、学校で猫にひっかかれて
病院へ連れて行かれたっていうアクシデントがあったんですよね。
その顛末をおもしろおかしく、病院の先生や看護師さんに話しているのを見て
アルナちゃんはお母さんのりん子さんにこういうのです。
「ママ、アルちゃんね、ママのことが嫌いになったよ」
「どうして?」
「だって、ママはアルちゃんのことみんなの前で嗤ったもん」

いいですね~。子供にだってプライドはある。そうやって素直に訴えることができて、
ああ、そうか、悪かったな、ごめんね、と謝れる親。

素敵な関係だと思います。

その2
アルナちゃんは活発な女の子なので、よく学校のお友達とお外遊びをするのですね。
あるとき学校の近くの公園で、ギザギザに折れたツツジの幹に躓いて膝下を大怪我するのです。
それは遊んでいたお友達が恐ろしさのあまり、動けなくなるほど、スプラッタな光景だったらしいのですね。
はじめ、家にいたりん子さんのお母さん、つまりアルナちゃんのおばあちゃんが病院へと向かったのですが、アルナちゃんは絶対におばあちゃんを処置室に入れようとはしませんでした。
そして次々と駆けつけてきたりん子さんにもお父さんのサッシーさんにも
自分の傷を見せようとしなかったんです。
なぜか。
あまりにすごい傷だったので、親に見せると必要以上に心配をかけてしまうからと子供ごころに
子煩悩な親を思いやったんですね。
こんな10歳にもならない小さいこどもが、しかも自分が大怪我しているのに、親のことを心配しているんですよ。ものすごく痛かったらしいんですけど、泣けば親がまた心配するだろうって思って、泣かなかったっていうから、本当に大したものだなって読んでいるこっちのほうが、アルナちゃんが健気すぎてもらい泣きしてしまいました。

アルナちゃんは、普段は結構甘ったれで、親にはわがままを言い放題みたいなところがある子なんですが、こんなふうに肝心のところにくると、ぐっと我慢できる。人のことを思いやることができるって、すごいなぁって思うんです。

他にもアシタ君のことや、ご主人のサッシーさんのカレー屋さんの箇所も非常に読ませます。
とにかく、子育て中の親御さんには読んでもらいたい漫画かなと思います。





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コメント 10

Yui

「私もトルコで驚いた」というやっぱりトルコ人と結婚して、いろいろ経験する漫画が好きで読んでいました。インド夫婦茶碗の方は気になってはいたのですが、まだ読んでいません。今度読んでみたいと思います。

前に住んでいた所で近所にインド人のやっているカレー屋さんがあって奥さん日本人で可愛い子どもが2人いました。良い場所があったのかカレー屋さんごと引っ越していったのですが、月日が過ぎて息子さんがカレー屋さんを継いだと聞きました。

親子の数だけエピソードは多いでしょうね。



by Yui (2020-10-24 08:14) 

sadafusa

Yuiさま

この漫画とてもおもしろいんですよ。
ご主人のサッシーさんは、語学に堪能な方で、
故郷のケララ語、全インドの共通語であるヒンディ語、
そして英語、そしてアラビア語、日本語、
ちょっとだけだけど、フランス語、ドイツ語とできる方なんですよ。
それに、さすがインド出身っていうか暗算がめちゃくちゃ得意で、
計算機よりも早いんですね。

でね、二人の子供たちをヒンディ語と日本語とか
英語と日本語のバイリンガルに育てようとしないで、
あえて、他の日本人の子供たちと同じように
英才教育も施すことなく、普通に育てるんですよ。

なんかご自分が努力して何ヶ国語も習得されているので、
変にあせることもないみたいですね。

お子さんたちが小さい頃は、思う存分、保育園で遊ばせて、
お稽古ごとっていうのもあえてやらせてなかったみたいです。

で、重要視していたのは、思いっきり運動させることみたいな。
でも、どこかの体操教室へ行かせるわけでもなく、幼稚園の雲梯をつかって、二段とばし、三段飛ばしができる、バックができるとかそういう日頃の運動ですかね。

小学校の高学年になって、初めてお兄ちゃんのアシタ君が、「学習塾へ行きたいな」ってことで、本人の意思を尊重して入れていたようです。
でも結局、高校ぐらいになると、本人がしたいからということで、イギリスへ短期留学などさせているので、いいお金の使い方しているなって思いました。

でも、ご主人のサッシーさんなどは、故郷のインドのご母堂さまが亡くなられたあと、やはりそのストレスやらなんやらで、胃がんの手術をされたり、結構たいへんな局面がいろいろあったりして大変だったみたいですね。
それでもご夫婦、ご家族が一丸となって、困難を乗り切る姿には感動を覚えます。

フツーにキンドルで買って読むとバカ高いので(なんせ24冊もあるし、)やはりアンリミテッドに入って読むほうが安いと思います。
by sadafusa (2020-10-24 12:41) 

Yui

わたしもアンリミテッドに入っていたらしく、タダで読めました。(全部)じゃありませんが、読んでみました。
ここのうちのサッシーさんのカレー屋さん、うちから電車で直通5つくらいです。
こんど行ってみようと思います。

保育園はいいですよね。うちの子の保育園はたいへんよい保育園で大豆をシートの上から園児が踏んで味噌を作ったり、小さい土地に稲を植え、ちょっぴりのお米を瓶で脱穀したり、秋にはサンマを園庭で焼いて食べたりしていました。食育に手をかけていたんですね。

育児マンガで決定版なのは。ママはテンパリスト全4巻です。子育てのたいへんさが爆笑ととも描かれています。

by Yui (2020-10-25 14:08) 

sadafusa

ケララバワンですね。
お店のホームページを見るとすごく美味しそう。
それに意外とリーズナブルなお値段だし。
私も行ってみたいです。
最近、あちこちにインドカレー屋さんが出来てるけど、
本当においしい!と思える店ってそうないんですよね。

うちの娘も子供はまだですが、子供を持っても、やはり画家業をやり続けるには保育園に預けるのがいいと思います。
昼間は保育士さんを信用してしっかりと育ててもらって、その間に自分はしっかりと絵を描いて、子供が家に帰ってきたら、制作活動はやめて、子供のちゃんと向き合ってほしいなって思います。
一番やってはいかんのは、子供がそばにいるのに、ニグレクトすることだよね。そんなことをするぐらいなら、子供を持たないほうがいいと思います。

子育てにこれが正解というのはないと思うけど、一番大事なのは自己肯定感をしっかり育ててもらうことだと思います。自分を大事にするってことがこれから先、長い人生を生きる上で一番大事な要素ですよね。
それぞれの器がありますから、みんながみんなが立派な成績を収めるってわけにはいかないけど、なんだろ、その中でも自分に見合った目標、自分に見合った努力ができる人間になってほしいよね。
あと、ものすごく大事なのが、基礎体力でしょうか。これがないと、どんなに才能があっても、開花させられないしね。

ママはテンパリスト、東村さんのマンガですね。売れっ子さんですねー。面白そうです。
by sadafusa (2020-10-25 17:00) 

Yui

sadafusaさま、ちょうど今日の昼過ぎに練馬にあるインド人の作った南インド料理の店、奥様は多摩美出身の漫画家という話しを夫としていたら、ぜひ行こうという話しになり、5時ころ電話したらやってる予約したほうがよいということで家族3人で予約して行ってきました。
サッシー氏いましたよ。食べログのクーポン券でチャイが飲めるので
お願いしたら店主自ら入れてくださいました。
小柄というより、顔も体躯も手も足も全体的に小さい感じの男性でいらっしゃいました。確かに可愛い感じのちょっと不思議な造作の男性です。
お料理はとてもおいしかったです。インド料理の良さがよく現れていました。ブリアニとかいろいろ入ったナンもおいしかった。ただ南印度料理のプレートのようなものを頼んだのですが、
これだけはたぶん賛否が分かれるところだと思います。もちろんおいしいんですが、これは味噌汁をインド料理で作ったものなんだろうなというものなのです。かつおぶしを粉砕したものを入れたなーっとかパクチーは三つ葉代わりなのでは?という感じ。もちろんおいしいんですがちょっと難しいところです。


ところで保育園はねー、良い保育園を探すのはたいへんです。幼稚園よりはるかに上質の教育+保育をしてくれるところもあれば、保育所とか駅の1角にあって散歩にはどこへ行っているんだろうというところもあります。

子育てに正解はないってほんとですよね。
私も保育園難民だったのでシッターさんに見てもらいながら最初の半年を危なっかしく過ごしました。
お嬢様、画家で食べていくのはたいへんだと思うのですが、負けないで、それこそ自尊心を強くもって道を進んで行って欲しいと思います。それとたぶん画家で注文を安定して受けるには人の懐へ入り込んで甘える「人たらし」のような才能が必要かと思います。
これは成人してから身につける技ではないだろうと思うので、むつかしいところです。もし自ら営業ができない体質なら、古美術修復や美術教育のような画技を売っていく仕事の方がいいかと思います。勝手申し上げてすみません。
by Yui (2020-10-25 21:49) 

sadafusa

はや!ケララバワンに行かれたのですねー。
味噌汁をインド料理で作った?
サンバールのことかなー。

ビリヤニも食べられたんですねー。いいなぁ。
インド料理は北と南ではかなり違うみたいで、南インド料理はかなりあっさりしているけど、特にケララ地方のお料理はさらにあっさりしているということですが。。。
ま、実際食べてみないとわかんないよね、これだけは。


娘の画業については、ノータッチなんです。
親の口出しできる領域ではないと思っているの。

10月28日より、京都大丸店で初個展です。
youtubeもやってるので、もしよろしければ、高評価、チャンネル登録をお願いします!

https://youtu.be/_f41DY_F0dY



by sadafusa (2020-10-25 23:14) 

Yui

ssadafusa様、お嬢様のyoutube見せていただきました。これなら大丈夫と確信いたしました〜。失礼なことを申し上げました。ごめんなさい。

高評価、ちゃんねる登録もしましたよ。大丸デパートの個展もうまくいきますように。

ケララバワン、ここのところ私はうまく香辛料を使うよいカレー屋さんを見失っていたので、とてもヒットでした。(近いし)

練馬はね、東京23区の中で最もカントリーな地域で、小さな小さな農園や果樹園が住宅街の中に点在しているのです。生産緑地といいます。でもってその農園や果樹園にはコインロッカーがあり、野菜や果物が入っていて100円玉を入れて開けて買うシステムになっているのです。農家の方がコインロッカーに朝入れてくれたものを買うことができるんですね。深夜でも新鮮な野菜が帰る不思議な都市なんです。
ちょっとSFっぽいと私は思っています。


by Yui (2020-10-27 10:15) 

sadafusa

ありがとうございます。
YouTubeは、コロナで営業活動ができなくなったため、
窮余の一策だったらしいです。

もともと絵なんて贅沢品だし、法外に根が張るものなので、
娘と同調しすぎると親子して墓穴を掘ってしまうんですよ。

あんまり関係しないほうが冷静でいられるっていうかね。
絵を描くって想像活動でいながら、受けも狙わなきゃいけないんですよ。
お客さん画商の中には堂々とパパ活を申し出てくるような人もいて、
親として聞いているだけでも、画家なんてやめなさい、って言ってしまいそうになるんですね。

でも、そういう親父のスケベ心の難なくするりとかわしていくだけの
メンタルの強さというか、強い自己肯定感がないやっていけないものらしいです。
私にはとっても無理!

練馬って不思議ですね、
都会なのにね、
でも、便利ですね。
by sadafusa (2020-10-27 21:09) 

Yui

>親父のスケベ心
これはほんとにやっかいですよね。紳士然としておられても、先生と学生の関係であっても、容赦ない人は容赦ない。私は助手時代、なんどもすり抜けてやっていました。奥様に頻繁に電話したり上手に逃げたりでした。なかなか大変です。

お嬢様のご活躍をお祈り申し上げます。
by Yui (2020-10-28 20:06) 

sadafusa

お返事遅くなりました。

そうねぇ、男の人の本質ってスケベなんですね。
ちょっとスキあらばって感じですかね。

大学の先生ってアカハラ、モラハラ、セクハラがすごそう。
どの先生もめっちゃプライドが高いだろうしね。
なんか渡辺淳一の小説を思い出したわw

Yuiさま、さすがですw
by sadafusa (2020-10-29 17:58) 

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