美女は死んで女神となる『パドマーワト 女神の誕生』 [読書・映画感想]

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みなさま、こんにちは~。sadafusaです。

この前の『天平の甍』から一ヶ月以上経ってしまいました、気がつけば…。
まあさ、いろいろあったんだよね。

で、ですね。そういうときって、没頭することが一番だろうって
創作することにしたんですよ。

でね、5月に奈良の当麻寺に行ってきたんです。
まぁ、当麻寺って言ってもピンとこない人も多いだろうけど、
ほら、バスクリンと漢方薬で有名なツムラってあるじゃない?
あれってお姫様のマークじゃない?

あれが当麻寺と縁の深い「中将姫」なの。

でまぁ、私って物好きだから、そこで中将姫物語ってお寺の縁起絵巻を元にした本っていうのを買って読んでみたのよ。そしたらさ、なんちゅうか、現代人には理解できない「美徳」のオンパレードなわけ。

昔って儒教に凝り固まっているから、娘が親孝行として女郎に売られるのって美徳なの。
あと、主君の子どものために臣下の子が身代わりに討ち取られるのも美徳なのよね。

昔は子どもは親の所有物で、子どもが親にちょっとでも逆らうと「この親不孝もの!」ってみんなこぞって糾弾するのに、親が子どもを間引きしたり、捨て子したり、折檻のあげく殺したり、女郎屋に売りつけるのなんか当たり前だったんだね。


そういうつっこみどころが多すぎる説話を読んで、『自分が説話っぽいものを書いたらどうなるだろう?」って思ったのね。

場所を日本にしても別に良かったんだけど、ちょっとエキゾチックなものを書いてみたくって、アラビアンナイトに出て来るシェヘラザードがシャヘリアル王に語って聞かせた話のひとつ、みたいに書いてみたらどうかなって思ったのね。

でね、これ、実際に書いてみてすごく痛感したんだけど、イスラムのことをあんまりよくわかっていない日本人がイスラム世界のことを書いちゃいけないなって、やっぱり宗教はデリケートな問題ですので、茶化しちゃいけないって思ったのね。

で、まぁ、場所はアッラーの教えが浸透してない昔で、異教の神を崇めていたという設定にしました。やっぱ、怖いもん。こんなド素人の書くものと言っても。


で、今回は短編にして、こうモローの絵のような、エキゾチックで幻想的な雰囲気のものにしたいなって思ったのね、
で、私のいつもの癖なんだけど、いくら創作だからといっても、やっぱり中近東の風俗とかファッションとか把握して置きたいわけよ。

それがねぇ、意外とそういう資料みたいなものがないわけ。

まぁさ、『オスマン帝国外伝』のシーズン4の最後まで視聴した身ですので、
なんとなく雰囲気はわかるんだけど、でもさ、あの番組の衣裳ってほとんど史実を無視しているっていうじゃない?
ま、それはいいんだけど、じゃあ、他にもいいものはないのか?と探してみたんだよね。


で、あったのさ、ひとつだけ、超弩級にいいのがね!!
それはね『ハドマーワト 女神の誕生』って映画だったの。

2年ほど前の映画で芸術系の映画館で上映していたんだけど、
スケジュール会わなくて見逃したんですよね。


しかし、この映画は話の内容ははっきり言ってどうでもよくて、
ただただひたすら、主役の王妃『パドマーワト』が美しかったです。

王妃さまはもう5分に1回ぐらい、お召し替えしているんだけど、
そのサリー(私達が思っているのとはちょっと違う円形のスカート履いているんだけ)というか
衣裳のひとつひとつが本当に豪華で、お金がめちゃくちゃかかっているのが丸わかりでした。
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でね、王妃様はいつも、ものすごい宝石のついた耳飾り、髪飾り、首飾りは当たり前だと思うけど、
鼻飾りをされているんですよ。それがすごく豪華で、かつ、美しい。
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こんな重たいのを付けていたら、絶対に鼻の形がおかしくなるよなって思うくらい。
そして、手の飾りね。これがすごい。腕輪と指輪が合体したもので、
掌全体に金色に光るものが散りばめられているって感じ。

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まぁ、私はしょうがないからブルーレイ3600円で買いましたけど、
皆さんももしテレビで上映することがあったら、きっとめったに見られないと思うので、
(あ、ネトフリでは見られるみたい)録画してみてみて。

オスマンのファンだったら、好きだと思う。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
このお話はね、こんなにお金がかかっていて、すごく美しいにも関わらず、お蔵入りになりそうになったんだって。

っていうのも、ちょっと宗教にひっかかっているんですよ。
アフガニスタン人でスルタンである叔父を殺した、いわゆる王位簒奪者である
アラーウッディーンって、ちょっと危ないヤツが、世界一美しいといわれるパドマーワトを手に入れるために、インドの西の小国に侵攻してくるのよ。

パドマちゃんは、もともと仏教国であるスリランカ出身なんだけど、たまたまスリランカをおとずれていた王さまと恋愛しちゃってお嫁に来るのね。

旦那さんであるラタン・シン王が、なんつーか正義を重んじるんはいいんだけど、相手を見ろよ、っていいたい。相手はどんな手を使ってもパドマちゃんを手に入れたいと思っている悪漢なんだよ~。
ってちょっと臨機応変って言葉を知らない王さまを見ていてイライラ。

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で、何度もパドマちゃんが王国の危機を救ったんだけど、ついに敗れる日が…。


インドって『尊厳殉死』という因習があるらしい。
まぁ、昔からありますよね「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかし)めを受けず」ってのが。

これって、第二次世界大戦時の日本でもよく使われていて、玉砕とかが正当化されちゃったりもするので、一つ間違うと非常に危ない考え方だと思うのね。

で、おそらく夫が生きて帰ってこれないことを悟っていたパドマちゃんは、夫から『尊厳殉死』の許しを受けるのね。

もし、夫たるあなたが死んだら、私も殉死しますっての。

で、王国中の女性がみんな赤い服を着て、火の中に入って焼死することになるんだけどね。
やはりここらへんが、上映中止になる原因だったのかもしれないね。
だって、パドマひとり死ねば、他の女性は関係無いような気もするし。

まぁ、戦国時代の武将の奥方なんて、誰にもなんにも言わず、辞世の句をサラリと読んで、
首を掻っ切って自裁する人なんてめずらしくもないけどね。

あと、やっぱり、アラーウッディーンがいかにもイスラムの悪者っていうか、ステレオタイプに陥っているところが、ちょっとかなぁ…。

でも、この人、ワイルドでかっこいい。インド映画ってみんな、めっちゃくちゃダンス上手いし。
一昔まえのインド映画って女性は、本当に女神みたいな美女ばっかだったけど、男のほうは、けっこうぽや~んと太い人が多くて「なんで?」って思っていたけど、最近は男性の美の概念の世界水準に達したらしくて、みんなマッチョで背が高かったです。

ちなみにパドマを演じていた女優さんの本当の旦那さんは、この危ないイスラムの王さまのほうらしいw
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ぼんぼちぼちぼち

インドって、南米に負けず劣らず美女率の高い国でやすよね。
まあ、もちろん、その中でも特に美しい人が女優さんになるのでやしょうけど。
指輪と腕輪が手の甲で繋がったアクセサリー、中学生の頃、着けてやした。
てか、今も持ってるけど。
あれ、何ていう名称だったかな、、、失念してしまいやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2021-06-14 19:59) 

sadafusa

ぼんぼちさん、
すごいですねー。やっぱり都会の芸術系白中学生は、田舎の中学生よりも数十倍クオリティの高い生活してますね。
ゴージャスな鼻輪のほうは、ノーズティッカっていうものらしく、インドの花嫁さんが必ずつける飾りらしいです。ご飯食べるときどうするんだろ、って下世話な質問をしてしまいそうになりますが。

指輪と腕輪の繋がったアクセサリーの名称はわかんないです。
腕が長くて指も長い人がつけるととても優雅。

この映画は以外と王様のファッションも素敵で、王妃様が薄ーくて長ーい生地をきれいにプリーツつけながら、王様の頭に巻いてあげてるシーンは美しかった。どうも、この王様夫婦は新婚さんだったらしいのに、二人とも若くして死んじゃってお気の毒でしたw
by sadafusa (2021-06-14 21:29) 

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