『ロイアル・アフェア』 知られざるデンマークの歴史 [読書・映画感想]
おはようございます。お盆ですね。
帰省して、忙しい方もいらっしゃるかと思います。
さて、ハンニバルを視聴中の私のマイブームは「マッツ・ミケルセン」です。
この人ねぇ、ハンサムなのかって言われると「うん!」と即答はできないんだけど、
まぁ全体的な雰囲気は端正かなぁと思うね。
まぁ、「カジノロワイヤル」とかこの「ハンニバル」で世間的にはばっちり「悪役」というイメージが付いているマッツだけど、故郷のデンマークじゃ「デンマークの至宝」っていって尊敬されているそうです。
「ハンニバル」はめちゃくちゃお金のかかったドラマなので、グロい殺人以外にもいろいろと見どころがあります。美に造型の深いレクターのスーツや家の内装、キッチングッズ、テーブルウエアなど、とても美しい。
まぁ、それでも43分のドラマの中には必ず一度や二度は緊迫したシーンがあるので、「軽く」見るわけにはいかないんだよね。
で、昨日そんなわけでちょっと別のテイストの映画を観てみようと思ったわけです。
タイトルは「ロイアル・アフェア 愛と欲望の王宮」
まず!このタイトルがダメです!こんなんじゃなんかスキャンダラスな、下世話な話なのかと思ってしまうじゃないですか。
そうではなく、これはフランスで革命が起きる以前にデンマークで一介の町医者という身分でありながら、一時的にも一国の宰相としてデンマーク王国を近代的な政治を施行した男の話なのです。
話はまさにフランス革命前夜と重なるのですが、イギリスからデンマークへひとりの王女がお輿入れします。彼女こそデンマーク王クリスチャン7世の妃となるカロリーネ。
イギリスから希望にあふれて嫁に行ったカロリーネですがついて見ると、夫となる国王は奇行を繰り返すちょっと頭に問題のある人物。
知性があって芸術にも造詣の深いカロリーネはがっかりします。しかしそれでもとりあえず故国に母親の言葉を思い出して、お世継ぎを作ることだけはしっかりと果たしたけれど、無事お世継ぎとなる男の子が生まれれば、夫の存在など疎ましいだけ。
完全に別生活を送るようになるのでした。
王様の頭が弱いのをいいことに、貴族はやりたいほうだい。デンマークは疲弊しきっていました。
ですが、そのとき、町医者であったストルーエンセが王様の侍医になるのですね。
このストルーエンセは貴族でもなんでもなく、ただの平民でしたが、誠実な人間だったので
次第に孤独な王様の心をつかみ、夜も昼も行動を共にするようになり、
やがて政界にも嘴を突っ込むことになるのですね。
本当はそうはしたくなかったのかもしれませんが、教養や知性、それよりもルソーなどの啓蒙思想を深く理解していたストルーエンセにしてみれば、今のデンマークのさながら中世に逆行したような政治形態には我慢ならなくなり、次第にもっと市民にやさしい、福利厚生や思想の自由、人権の尊重をを保障した近代的な政治を敷いたのですが、性急にやりすぎたのか旧態依然として自分の利権にばかり執着している貴族の集団に陥れられて、最後は粛清されてしまうのですねぇ。
話の大きな枠組みとしてストルーエンセという人の生涯はこんな感じなんですが、
ストルーエンセはまた、別の一面がありまして、
国王クリスチャン7世に愛想を尽かしてへきえきしているカロリーネ王妃の愛人となってしまうのです。
二人とも知性や教養にあふれ、共感することが多かったのです。
そしてある夜会でふたりは踊りを踊ります。
それがふたりの恋心に火をつけるのですね。
でも敵の多い貴族はこんなおいしいスキャンダルを見逃すはずはないのですよ。
そして、話はだんだんと悲劇に向かってひた走ってまいります。
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カロリーネやっている人はものすごくかわいくてお姫様~~、って感じの人です。
なんか若くて色が真っ白なんですね。こういう若い女の子ってうなじとか耳のあたりがほんのりと
桜色に染まっていて本当に初々しくてきれい。
しかしですね、このいうおとぎの国のお姫様みたいな人にマッツ、っていうのはちょっとなぁ~って気もするんですよね。「シャネルとストラビンスキー」んときみたいにアナ・ムナグリスみたいな大人な女の雰囲気があったほうが、お似合いのような気もするけど、でもまぁ、こういうふうにいっそのこと親子にも思えるほど違う雰囲気の二人っていうのもアリなのかって気にもなって来るのですね。
白眉は、途中でふたりで踊るところ。マッツは強面ですが、もともとダンサーだった人。
驚くほど優雅に滑るように踊っているのはさすが!でした。
ベルばらチックな時代なのですが、マッツは最初から最後まで黒い衣装で決めていました。ヒラヒラとしたレースのクラバットなどは一切絞めず、黒のクラバットというのが渋かったです。
あとは王妃さまのヘアスタイルなどは惣領冬実さんが描いた『マリー・アントワネット』に出て来るのにそっくりで感動しました。
あと、実際に男の人もカツラではなく地毛でいわゆるロココ風な三段ロールを結っているのもあって、コスチュームが好きな私は大変参考になりました。
ソフィア・コッポラが作った『マリー・アントワネット』は非常におしゃれな画像だったけど、ああいうのは演出のため、案外ウソも多く混じっているような感じなのに対して、こっちのデンマークの映画は武骨だけれど、わりとそこらへんは史実に違わず作っているような気がします。
予告編のトレイラーはこちら
https://www.youtube.com/watch?v=3C_HDMH3Arc
現在、アマゾンにて有料(400円)で視聴できます。