マッツ・ミケルセンの別な側面 『偽りなき者』 [読書・映画感想]

皆さま、こんばんは。

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一時、ものすごく涼しい日があったと思ったら、
またジメジメと暑い日が続いて身体が悲鳴をあげております。

外に出かけるのが非常に苦痛なので、家で籠って本を読んでいるか、
ドラマか映画見ているかという、そういうものぐさ三昧の日々です。

ここに何かをUPして、自分が感動したこと皆さまにもお伝えしたい、と言う気持ちと
なにもかも億劫でめんどくさいわーという気持ちが半分ですね。
こういうふうに身体が弱っていると、意外と自分の思いを的確に文章に綴るのも体力と集中力が必要なんだなと気づきました。

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さて、ご承知のとおり、今のわたくしのマイブームは『マッツ・ミケルセン』ですね。

ハリウッド映画では強面の悪役が板についたマッツですが、
この映画は彼の故郷デンマークの映画でして、いつもビシっとスーツを着こなすダンディなマッツとはまた別の側面を垣間見ることができて非常に興味深いものがありました。

タイトルは『偽りなき者』。


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タイトル、あんまりよくないと思うんですね。まぁ冤罪の映画だからそういってもいいのかもしれないけど、なんかしっくりこないです。

この映画はイアン・マキューアンの小説の『贖罪』同名の映画『つぐない』と非常に似ていると思うのです。

男の人の女性に対する性的暴行は、絶対に許すことの出来ない犯罪ですが、
しかしだからといって、一見怪しいと睨んだ男性でも、きちんとした証拠があって
『有罪』となった場合、法的に処分されるべきものなのであって、
やったかどうかわからないのに、「おまえは変態だ!」とか「卑劣な犯罪者だ!」といって
普段つもりに積もった鬱積を晴らすためのスケープゴートにしてはいけないなという
非常に厳しい内容の映画でした。

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主人公のルーカスはデンマークの片田舎の幼稚園で勤めている離婚歴アリの独身男、42歳。

本当は小学校教諭だったのですが、過疎化のために小学校が閉校したため、しかたなく幼稚園へ勤務したのです。
ですが、ルーカスはそれなりにそういった日常を楽しんでいました。
別れた妻とは一人息子がいますが、一緒に暮らすことを希望しています。

そんなあるとき、幼稚園の園長から
「ある子供から、あなたに性的暴行を受けたという告白があったのよ!」と寝耳に水のような宣告を受けたのです。ルーカスは誓って潔白でした。
「どの子ですか、そんなことを言っているのは?」
「言えないわ」
「いつあったと?」
「それもいえないわ」

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本当は幼稚園のクララという女の子がいつも優しくて男前のルーカス先生が好きだったんですよ。あるときクララは先生のくちびるにチューして、アイロンビーズのハートをプレゼントしたら、
「くちびるにチューは無しね。それからハートのプレゼントは、お母さんに訊いてから頂戴ね」
クララからしたら、心外な返事だったんです。本当はルーカス先生に喜んでほしかったのに。

ちょっと傷ついたクララは、腹いせに中学生のお兄ちゃんがiPadで見ていたいやらしい写真を思い出して告げ口をすることにしたのです。
「ルーカス先生が、おちんちんをわたしに見せたの」
びっくりする園長先生。

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でも、あの色男のルーカスならこういうこともありそうだわ、とその時点で断罪してしまう。

それから、あれよあれよというまにルーカスは村では誰一人知らぬもののいない「変態野郎」ということになってしまうのです。

それからの村の人間によるルーカス先生いびりっていうのが半端ないんですよ。

村に一軒しかないスーパーへ行くと、カン詰めを投げつけられ、肉屋の親父に殴られ、
「もう店に来るな! 他のお客に迷惑だ!」と言われてしまう。

なにもかも失ってしまったルーカス先生…。


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そのあとはぜひ、映画をご覧ください。

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中野信子さんの著書に『シャーデンフロイデ』という本がありますが、
シャーデンフロイデとは「他人の不幸を喜ぶ気持ち」をいうそうです。
いわゆる「メシウマ(他人の不幸でメシが上手い)」状態のことをいうようです。


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たぶん、私が思いますに、ルーカス先生は42歳のわりには、全くぜい肉が付いておらず、
今でも十分にいい男なんですよね。
そして、やっぱり現役で「女にもてる」
そのことが、同い年でも、油ギッシュで三段腹でハゲ親父たちの嫉妬を買ったのかもしれません。

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マッツってハリウッド映画だと、十分にマッチョな巨漢の役ができるのですが、
それは相対的な問題であって、故国のデンマークでは決して背が高いほうでもないのかなぁって
感じです。(マッツは183センチ)

映画では2メートルを超すような人がバンバン出てくるので、マッツなんて非常に華奢に見えてしまうんですよ。
ダサい恰好をしているほうが、かえって本来の男前度がわかる映画なんだなぁと
別なところで感心してしまいました。

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この映画は日本では、アートフィルム系の映画館では上映されたみたいですが、
ほとんど知られていません。

それでもカンヌ国際映画祭でばっちり「男優賞」にマッツが輝いた秀作です。





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