怖い間取り [読書・映画感想]

今、古川日出男という方の『平家物語』現代語訳っていうのを読んでいる。
この本は、古典で文語文で書かれていたものを、現代語に置き換えたもので、物語を現代の小説風に再構成させたものではないのです。

で、昔のものだから、三井寺と比叡山の抗争みたいなものもよく描かれているし、当時の仏教的なものの考え方、みたいなものもよく出てくる。
これまでは「ああ、迷信くさいものの考え方だなぁ」「ん~、そんなのは迷信!」「そんなこと、あるはずないじゃないか」と思っていたのです、が。

ちょっと前、永久保喜一さんの『密教僧」シリーズを読んで、少し考え方変わりました。
私、ずーっとこれまで天台宗のものであれ、真言宗のものであれ、密教ってものすごい「現世利益」に徹底したうさん臭い宗教だと思ってきたのですよ。

でも、天台密教で修行を積んだ行者さんたちというのは、その辺のカルト宗教も真っ青の生死をかけた荒行なんか10年ぐらいするし、そうやって神通力っていうか「魔を祓う力」をつけていくんだなぁってわかったんです。

ちょっと欧米のエクソシストやっている方たちとは違いますね、日本の行者さんたちは。

で、そういう方の「いのりの力」というのは、本当に強くてこの世に浮遊している悪霊などを退散させる力を本当に持っているんだなぁって深く得心しました。

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話は変わって、今日はAmazonでベストセラーでよく売れてるという、評判の本を読んでみました。

タイトルは「怖い間取り」です。

事故物件怪談 恐い間取り

事故物件怪談 恐い間取り

  • 作者: 松原 タニシ
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2018/06/26
  • メディア: 単行本



表紙からして怖い感じです。

これは著者がお笑い芸人さんなのです。(わたしは日ごろテレビを全くといっていいほど見ないので、この方のお顔も存じ上げないのですが)

ともかく、お笑いの世界は厳しく、人を笑わせる職業というのは本当に苦しいものらしいです。
それで、あれやこれやと考えておられるうち、「人がしていないことをしよう」と考えつかれたのですね。そうはいっても今の世の中、人が手に付けていない領域というのは、なかなかないものです。

そこで、あるとき事故物件というものは、安くしてあってもなかなか入りたがらないものだ、ということに着目して、事故物件ばっかり探してそこに住むわけですよ。

その事故物件のおへやの詳細な間取りが、お話とともについているわけですね。

事故物件というのは、おおよそ次のみっつだそうです。
①自殺
②他殺
③自然死なんだけど、誰も見とる人がいなくて、事後処理が大変だった部屋。

私からしたら③なんて、夫婦であろうが、子供がいようが、避けられない事態なのであって、かくいうわたしだって、腐乱死体で発見されちゃうかもしれないっていう可能性はあるので、「これは仕方ないんじゃないのか」とも思うんだけど、でもこんな風になくなってしまう方は、それなりに無念を抱えて成仏できない方も中にはいらっしゃるらしいです。


この方がおっしゃるには、「自分はまったくそういうのを感じる力がない」そうなのです。
たいていのお部屋は「なんか不気味だなぁ~」というゾワっという感覚はそれなりに生じるものの、具体的になにかが見えたわけじゃない、っていうのが多数です。

ときどき「それで、それで?」って追求したくなる話もあるのですが、やはり本物の物書きじゃないせいでしょうか、「だからどうした?」みたいな話もあります。
でも、霊感のないこの方でさえ、真っ青になって叫びだしたくなるような怖い目には一度二度、あってらっしゃるのがやはり、怖い!

で、この本は全編が怖い間取りばっかりじゃなくて、
「出る!」と言われている恐ろしいスポットにも、自ら赴くんですね。
こっちのほうは、読んでいて本当に怖くて、恥ずかしながらわたくし、夜中にトイレいけませんでした、トホホ。

魔界スポットに友達と連れ立って、歩いているのに、隣の友達からラインのメッセージが来る。
「おまえ、やめろよ、気持ちわりーな」とか言って、ラインのメッセージ開いてみると、
意味不明の文章が…。

全く言葉になっていないのだけれど、この文字の選択の仕方はただの文字化けではない、非常に気持ちの悪さを感じてゾっとなりました。

あと、車の中にケータイを落として、見つけるために他のケータイを発信したら、ワンコールでつながって全く知らない親父の声で「おまえ、〇〇ダム行ったやろ?おまえ、〇〇ダム行ったやろ?おまえ、〇〇ダム行ったやろ?」と連呼されて切られちゃったとか…。あの声は…何?
とぞ~っとする話。

江原さんがおっしゃるように、「ここは怖いところだから行っちゃいけない」と言われているところは、やっぱり行っちゃいけないんだなと思いました。
たぶん、こういう魔界スポットのセオリーはですね、ひとつなにか魔がいたりすると、共鳴する魔が集まってきて巨大な軍団になってしまうらしいんですね。死霊ばっかりじゃなくてでも、死んだときの無念、とか苦しい思いの念、「念」も集まると結構怖いものらしいです。

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全体的に非常に怖く、かつ、面白かったですね。

アグレッシブに悪霊と対峙してみようというこの方の意気込みがすごいです。
幽霊や悪霊でさえ、メシのタネにしてやろうという、そのふてぶてしいまでの生命力。
ユーレイさんの中にはこの方の生き方に感動して、成仏された方はたくさんいらっしゃったんじゃないでしょうか? 

なにかこの方の守護霊さまも、すごい方がついていらっしゃるような気がしました。




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