『ダウントン・アビー』 ファッション 女性編 ② [読書・映画感想]

みなさま、こんにちは。

とうとうダウントン・アビー、シーズン6制覇いたしましたよ~。
本当に面白かった。話の筋も非常に良かったです。

このお話ってね、徹頭徹尾悪人とか、善人とか出てこないんですよね。
でも人って立場とか場合によって、非常にいいひとにも嫌な人にもなれるんだな、ってそういった意味で玉虫色だと感じさせる、非常に緻密な人間描写が非常に秀逸でした。

さて、でもいろんなブログにそういったお話はわたしなんかよりよほど上手に語っているものも多々ありますので、今日は私の大好きな、ファッションを語って参りたい、とこのように思うわけです。



ヨーロッパ人にとっては第一次世界大戦のショックというのは、日本人にとっての第二次世界大戦にも匹敵するような気がします。

本当は男性も女性も一緒にしたかったんだけど、そんなわけで非常にめまぐるしくこの時期のものの味方とか価値観が変わっていってそれが如実にファッションにも表れているので、まずは女性だけにしぼりたいと思います。

話は1912年、タイタニック号が沈没したところから始まるのですね。
このころの女性のファッションは1900年ごろの世紀末ファッションというか、アールヌーボーファッションから少し変化しているんですね。

エドワーディアンなスタイルなわけですよ。
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左側の紫色のディドレスの女性が典型的なスタイルかな。この方が伯爵夫人です。わたし、この方がお話の中で一番好きでした。何よりキレイだし毅然としているけど、もとはユダヤ系アメリカ人だけあって、飾らない率直さややさしさ、そして強さがあって本当に素敵でした。

伯爵夫人が微笑みながら、少し上目遣いでじっと見つめる様がとても印象深いです。


戦争が始まる前はまだ時代もゆったりしていて、貴族の女性はゆっくりと髪を結う時間があったのでしょうね、着付けやヘアスタイルも複雑なものが多いです。

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帽子もこんなに花が飾ってあって華やか。


でも、戦争が終わると、世の中万事が世知辛くなったというか、ゆったり流れなくなったというか、没落する貴族が続出して、とても19世紀のように、朝から晩まで社交ばっかりしてられなくなるのです。
それまでお屋敷にはたくさんの使用人がいましたが、人件費が高くなって、そんなにたくさんは雇えなくなりました。で、それまで女性はコルセットをしていたのですが、こんなふうにコルセットをはずしてローウエストでルーズな形のドレスが流行るようになったのです。


話は前後しますが、
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この写真は、親戚の娘のローズが、社交界デビューする前にイギリス国王に謁見するときに、着たドレス。謁見する女性はこんなふうにティアラや羽飾りをつけ、長いすそといったように格式を求められたドレスを着なければ拝謁できなかったようです。

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イギリスも日本のように、国王陛下への忠誠心は篤いお国柄だとは思うけど、日本のように一糸乱れぬ謹厳さが求められるのではなく、もっとさりげなくけれども、瞬時にピタっと決まった敬礼が求められるような気がします。タイミングというか間の取り方の洗練みというべきでしょうか。

陛下の前に拝謁したときの、伯爵夫人のカーテシー(跪礼)が決まっていて非常に美しかったです。
深く膝を交差させて曲げるのですが、背中をまっすぐにして、中心がぶれないようにするのは結構難しいんじゃないかな、と思いました。

あと特筆すべきは、ホンモノの前・伯爵夫人であるところの、レイディ・ヴァイオレットおばあさまと
アメリカの大富豪の伯爵夫人のおかあさまのいでたちの違いかな。

ヴァイオレットおばあさまはもうすでに、流行は追わないのです。
で、ご自身は世紀末のs字スタイルのお洋服をお召しになる。ディナーの席でも他の女性のように
肌は露出せず、うすいレースかシフォンのハイネックのものをお召しです。

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それに引き換え、アメリカの大富豪の奥様はどすこーい!とゴージャス。
キンキラキンです。
女優はシャーリー・マクレーンなので、余計におかしい。
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伯爵夫人はとてもエレガントなので、お里のおかあさまもエレガントなのかなと思ったら、あーらびっくりでした。でも、こういったファッションは実際、バルビエなどのファッション・プレートに描かれていたのを見た記憶がありますから、案外国民全体がプチブル化したフランスなんかでは流行っていたのかもしれません。


このあと、コリン・ファースが主演していた『高慢と偏見』を見ているのですが、お金のかかり方が全然違うので、しょぼく見えて仕方ありません。

本当にひとつひとつ、ため息がでるようでした。

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